【第4回】予算編成の迅速化とKPIをビジネスにリンクBPMで経営に改革を

M&Aによって企業規模が急激に拡大した際、予算作成などで最も苦しむのが財務管理部門だ。効果的な業務管理システムが求められるのは言うまでもない。

» 2008年06月03日 11時00分 公開
[John Sterlicchi,ITmedia]

 企業合併によって会社の規模が突然4倍になり、収益が10億ドルを超えるようになると、予算作成も厳しい試練のときを迎える。もしそのプロセスに、さまざまなコストセンターから寄せられた数百枚のExcelスプレッドシートが含まれていたら、おそらくそれは「厄介」なことに違いない。

 サンアントニオにある米国最大のキャタピラ重機ディーラー、ホルト・キャットの財務管理者、ポール・ヘンスレー氏は、「予算作成の1ラウンド目で、われわれは1つの問題に直面した」と語る。その結果、予算作成プロセスは6週間も延長され、新しい年度にずれ込んだ。そしてヘンスレー氏と同社のビジネスシステムマネジャー、グレチェン・ステプキ氏は、業績管理(BPM)システムになにを求めるべきかを明確に認識した。

■事業の拡大とともに成長できる柔軟で拡張性の高いシステムであること。

■妥当な価格で使い勝手が良いこと。

■Excelのルックアンドフィールを持つこと。管理職の多くはスプレッドシートになじんでいた。



 ホルト・キャットはBPMベンダー数社をリストアップし、エグゼクティブたちに各社の製品をプレゼンテーションした。ヘンスレー氏とステプキ氏が早い段階で取ったもう1つのステップは、同社の7人の業務担当副社長たちから強い支持を得ることだった。

「われわれが得たものは、単に予算作成の迅速化だけにとどまらない」─―ホルト・キャットの財務管理者、ポール・ヘンスレー氏 「われわれが得たものは、単に予算作成の迅速化だけにとどまらない」─―ホルト・キャットの財務管理者、ポール・ヘンスレー氏

 プレゼンテーションをレビューした後、ホルト・キャットが向かった次のステップは少し変わっていた。同社が数年前から利用していたフォーカス・パフォーマンス・システムズ(ミネソタ州ミネトンカ)の意思決定分析ツール「Decision Focus」に、プレゼンテーションで用いた情報を流し込んだのだ。実際、このツールはホルト・キャットで技術導入の意思決定支援以上の使われ方をしていた。「主観的な意思決定を客観的にできる」とヘンスレー氏は説明する。

 プレゼンテーションの最終的な勝者は、クラリティ・システムズに決まった。クラリティ製品の大きな利点は、ホルト・キャットのITスタッフが常時関与する必要がなかったことだ。人的資源に制約のある中堅企業にとって、それは大きなメリットだった。「テンプレートやセットアップ・アロケーションを利用すれば、IT部門のプログラマーたちの手を煩わすことなく、それぞれの部署で必要な変更を行うことができる」とステプキ氏は話す。

 業績を俯瞰できるツールを導入したことで、ホルト・キャットは、次年度にずれ込むことなく、予算作成をオンタイムで完了することが可能になった。クラリティ製品導入プロジェクトは、当初の予想以上に大きな成功を収めた。「われわれが得たものは、単に予算作成の迅速化だけにとどまらない」とヘンスレー氏。

 ホルト・キャットの買収成長戦略は、多様なシステムを取り込みながら今後も継続されるだろう。しかし財務部門は、クラリティのソフトがさまざまな情報を統合する強力な手段になると自信を深めている。

 「クラリティ製品によって、われわれは多くの異なる情報プラットフォームを業績スコアカードに統合し、KPI(重要業績評価指標)をビジネスにリンクできるようになった」とヘンスレー氏は語る。

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