IT担当役員のゲーリー・ウォーレス氏が8年前、アンダーソン・ハードウッド・フロアーズ(売上高1億ドル)に入社したとき、コンピュータの役割はまだそれほど大きくなかった。当時、従業員150人の小さな企業の製造プロセスは、ほとんど手作業で行われていたからだ。しかし、ハウジングブームの到来とともにホームリノベーションが大流行し、アンダーソンの売上高は4倍に増加。電子コマース部門の存在感が増す中、ITは経営戦略上、非常に重要な役割を担うようになった。6年前、ウォーレス氏はたった1人でITを管理していたが、現在は4人のITスタッフを指揮している。
「ここ数年で、アンダーソンは急成長した」とウォーレス氏は振り返る。いまや全米5カ所に拠点を構え、従業員数も600人を超えた。ママパパ・ショップからフローリング業界のメジャープレーヤーへ変貌していく中で、ウォーレス氏は昨年、マイクロソフトのSharePoint Serverをインストールし、請求書や休暇に関するポリシーからプロジェクトファイルまで、社内のさまざまな情報およびドキュメントのセントラル・リポジトリを構築するとともに、Web2.0の世界へ足を踏み入れた。
もっとも、新システムをインストールする前から、アンダーソンは顧客向けのインタラクティブなWebツールの可能性について十分認識していた。同社は1年前、簡素なWebサイトをオーバーホールし、ユーザーが実際に自宅を改築する前にさまざまなフロアタイプやフロアカラーをオンラインのバーチャルルームで確認できる「アンダーソン・デザインセンター」を追加した。
Webサイトをリニューアルする前、アンダーソンのサイトにアクセスするユーザーは週に500人程度だった。しかし次世代サイトをオープンしてからわずか1カ月で、1日のサイト訪問者は1500人を突破するまでになった。「評判を呼ぶまでに、それほど時間はかからなかった」とウォーレス氏。わずか数カ月で、グーグルの検索リストのトップに“ハードウッド・フロアーズ”が現れたという。
ウォーレンス氏はデザインセンター用のインタラクティブなプラグインを探し、最終的にノースカロライナ州ローリーのフロアリング企業向け仮想化ソフトの専業ベンダー、ダンキック・インターナショナルの製品を選んだ。ウォーレス氏のチームは、1カ月かけて数百枚のフロア写真を撮影した。既存の画像が使えなかったのは、ライティングとカラーがサイトの表示に見合うクオリティになかったからだ。「最大の失敗は、見えない部分の作業量を過小に見積もっていたことだった」と同氏は語る。
サイトにアクセスした消費者をガイドし、高品質でダイナミックなコンテンツを提供できるように、現在、ウォーレス氏のチームは検索エンジンの最適化に全力を挙げている。
デザインセンターのソフトはダンキックが開発し、サイトそのものはアンダーソンの社内でホストされている。今年1月、Webサイトのセカンドバージョンの運用を開始した。将来的にウォーレス氏は、ユーザーが自宅の写真をアップロードし、アンダーソンのフロア画像をオーバーレイできる機能を提供したいと考えている。
同社のWeb戦略が成功したのは、社長や副社長、その他のエグゼクティブが全面的にサポートしてくれたおかげだ、とウォーレス氏は話す。「Webが消費者向けの優れたマーケティング、情報ツールであることを彼らは十分に理解している」
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