イノベーションゲームにしても、キーグラフにしても、基盤にしているのは人間の4つのスキル、つまり「感じる」「思い出す」「物語る」「高めあう」という4つの基本的なスキルを鍛えることだ、と大澤氏は言う。
「人間はいろんな現場で何かを感じます。しかし、ただ感じただけでは駄目です。それを覚えておいて、後で思い出さないと役に立ちません。思い出したことを組織の中で共有していこうと思ったら、物語らないといけません。それも、断片的なものではなく、1つのつながりの中に個々の出来事を位置づけて、高度にシナリオ化された考えとして物語らないといけないわけです。そうしていろんな人が出したアイデアを組み合わせて新しいアイデアにしていくためには、みんなで高めあわなければならないわけです。そういうスキルは、機械はくれません。機械がくれるのは、あくまでもみんなが一緒に語り合うための図だけなのです。それを使って、そうしたスキル、頭を鍛えるのがイノベーションゲームやアナロジーゲームなのです」
イノベーションゲームやアナロジーゲームは、もともとビジネスマンのために開発されたものだが、東大の五月祭などで開催すると、家族連れが参加して夢中になるという。それだけ、人間の基本的な能力を鍛えるゲームとして魅力があるということだ。
また、キーグラフを導入し、製品開発や新しい特許となる技術の開発、マーケティングなどに積極的に活用している企業も増えている。そして、そうした企業などを支援する機関として「チャンス発見コンソーシアム」がすでに設立されている。これは、「チャンス発見プロセス」の適用と応用を推進し、その成果を広く社会に普及させて、発見および意思決定プロセスの変革を実現する総合支援機関である。なお、機会があったら、チャンス発見に成功した企業の実例などもぜひ紹介したいと思う。
全体を俯瞰し、物と物との関係、自分と他人との関係、自分と周辺事物との関係などに気付き、そこから新しいアイデアを生み出す能力は、これからますます重要になる。その意味で、キーグラフやイノベーションゲーム、アナロジーゲームは今後、ますます注目されることになりそうだ。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授