3番目の条件に再び目を向けてほしい。
3.答えをすでに知っている人は、自ら話してはいけない。
これを読んでどう思うだろうか。「自ら話してはいけない」ということは、人と協力していけない、1人で考えないといけないと思うのではないか。しかし、ここには「自ら話してはいけない」と書いてあるだけで、聞かれれば教えてもいいし、答えを見せてもいいのである。つまり、「人と協力してはいけない」「自分で解くものだ」と勝手に思い込み、そう解釈すると、それに基づいて行動してしまう。事実を見なくなる、いや、見えなくなるのである。事実と解釈は違う。人は解釈で動いている。それにまず気付かなければならない。これが「思考の枠」である。
最近はこの「思考の枠」が固く、厚い人が増えている。孤独を好み、対話をしなくなると、「思考の枠」は固くなる。数多く起きている殺傷事件。1人で自分の世界に入り、「自分は正しい、悪いのは自分ではなく世の中だ」と思い込み、人を傷つけるという事件を引き起こす。他人という視点がなく、自分だけを考えている。
組織の中でも、自分の成果ばかり追及していくと、「思考の枠」が固い人の集まりになる。自分はマーケティングが得意だから、マーケティングだけやればいい、ほかは関係ない。そうなると、組織は成長しないし、組織として能力を発揮できなくなる。この点については、次回詳しく述べたい。
「思考の枠」は放置しておくと、どんどん厚くなっていく。意識して、広げるようにしないといけない。それでは、どうしたらこの「思考の枠」は広げられるだろうか?
(1)ゴールを明確にする
自分が現在取り組んでいることが何のためなのか、なぜ今このことを行っているのか、ゴールを明確にする。
(2)他者の視点を持つ
自分のためではなく、他者の視点を持つ。
(3)自分を客観的に見る
自分が周りからどう見られているか、客観的な視点に立って考える。
(4)勉強を続ける
基礎的な知識を持っていることはとても大切である。セミナーに行ったり、本を読むなどして、いろいろなことを勉強し、自分に足りないものが何なのかを認識する。
わたしは、世の中の問題はすべて「思考の枠」が原因だと思っている。繰り返しになるが、「思考の枠」は放置すると、どんどん厚くなるばかりである。それを認識し、広げる努力をする。それが自己変革の第1歩である。
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授