2つ目は、パブリックな視点を持つということである。パブリックな視点とは、社会に貢献するという視点である。自分だけ勝てばいい、自分の組織だけ勝てばいい、そういう人は真のリーダーにはなれない。現在グローバル化がすさまじいスピードで進み、地球の環境問題や経済および金融危機の問題は、一国や一社の力では解決できなくなっている。「地球はひとつ」であるという視点を持ち、世界に貢献していくという気概がないと、企業としてもはや生き残れない時代である。
オバマ氏がなぜ米国の大統領選に勝てたのだろうか? なぜ米国民の心を打ったのだろうか? それは、米国は一つである、白人も黒人もない、キリスト教もイスラム教もない、皆で力を合わせて幸せになろうと訴えたからである。パブリックな思想を持った人だからこそ、米国はオバマ氏を選んだのである。
小室哲哉氏は、このパブリックな視点を持っていただろうか? 音楽プロデューサーとして大きな成功を収めていたときに、これから音楽を通して自分がどのように社会に貢献したいのか、世の中にどんな音楽を残していきたいのか、というビジョンを持っていただろうか?
プロゴルファーの石川遼選手を見て、わたしはとてもすがすがしい気持ちになる。一生懸命ゴルフをし、自分自身に挑戦している。史上最年少で1億円プレイヤーになったものの、彼からはカネのにおいがしない。ただゴルフが好きで、うまくなりたいというビジョンを持ち、努力を重ねている。タイガー・ウッズも同じだろう。いくら稼いだとしても、足が折れるまでゴルフをやり続ける。ゴルフが好きで、ゴルフがうまくなって勝ちたいという目標に向かって、ひたむきに努力している。そのように自分のビジョンを持って取り組んでいる人は成功する。
小室哲哉氏は、音楽というものよりも、カネが目的になってしまったのではないだろうか。苦言を呈する人も周りにおらず、裸の王様になり、破滅へと向かっていった。
2008年をわたしなりに振り返り、「せいだ病」と「裸の王様」という2つのキーワードを紹介した。皆さんはどのような出来事に関心を持っただろうか。年の瀬を迎えるにあたって、自分なりに振り返ってほしい。皆さんが良い年を迎えられることを祈って、今年の最後の挨拶としたい。
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授