研修では社員がチームに分かれ、それぞれ与えられた課題の解決に当たっている。ただし、コンサルティングを進めて最終的な提案をまとめるには、各チームの提案をすり合わせることが不可欠。そのため、チーム内での議論のみならず、チーム間でのコミュニケーションも研修では活発に行われている。
例えば情報収集のためのヒアリングは複数名に対して行われるため、どのような順番で話を聞くのが妥当なのか、またヒアリングの時間は限られているため、聞き漏らしては絶対にいけない質問はどれかなど、さまざま場面で仮説を基に議論できる仕掛けが用意されている。このことも社員の能力育成に一役買っているようだ。また、研修の初日は自己紹介やパーティーなどが開催され、社員間の交流の活性化を見込むことができる。
このように、社員のスキルの底上げに注力している日立コンサルティングだが、同社にとっての理想とされるコンサルタント像とは果たしてどのようなものなのか。研修で講師を務めた日立コンサルティング シニアディレクターの伊藤雅彦氏によると、それは一重に、顧客の目的を必ず遂行できる人物だという。
業務改革を遂行するにあたっては、それがたとえ企業にとってメリットがあるものだったとしても、変化を嫌う現場から必ずと言っていいほど抵抗を受けるのが実情だ。コスト削減を目的にノンコア業務を外部委託する場合には、往々にしてそれまで委託される業務に携わっていた社員からの反発に遭う。言い換えれば、コンサルタントにはこうしたあらゆる障害を乗り越えるためのスキルが必要と言うわけだ。
「論理立てて変化の必要性を説明し、相手に納得してもらうことがやはり一番望ましい。だが、それが受け入れてもらえない場合、時には相手を接待するなどして納得してもらうよう仕向けることも現実的な選択肢の1つといえる。われわれコンサルタントは、リサーチャーやアナリストとは異なり、変化を実現できて初めて業務が完了する。だからこそ“理論”のみならず“実践”の力も養い続ける必要があるのだ」(伊藤氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授