サイト以外で問題になるのは、流入から顧客獲得、顧客維持まで、企業内で一貫した体制ができていないことです。例えば、流入は宣伝部の責任で、サイト設計やメンテナンスは広報部、リアルへのつなぎは営業部というように、部門間の連携ができていません。ユーザーからすれば、企業が発信するコミュニケーションがバラバラであるという印象を受けてしまいます。Webマーケティングの担当者は、ブログやSEO、SEM、LPOなど新しい技術や方法を取り入れなければいけないという強迫観念はあるものの、これらツールの利用がバラバラで、企業戦略との整合性がとれていないことが多いのです。
また、これらのWeb担当者を助けるマーケティング会社には、Webの広告代理店、SEO専門業者、サイトマネージメント、データベースの支援企業、総合広告代理店、分析専門の会社などと、流入から顧客獲得、維持や分析とそれぞれのマーケティング段階で最適化をしているに過ぎないのです。
個別の最適化は決して全体の最適化ではなく、企業内にも企業外のパートナー企業にも、無駄が多いのです。マスマーケティングに比べれば、ターゲティングができて、効果測定ができるようになったと言われるものの、最小の投資で最大の効果を出すべく一貫した体制ができてないというのが残念ながら過去のWebマーケティングの姿でした。これらは、まさに今、新しい技術や企業内部門の連携、パートナー企業の業務の拡大により一貫体制への道を歩みつつあります。
次回は、Webマーケティングの現在の動向についてです。
1990年代後半に登場したインターネットは、今や人々の日常生活に遍在し、欠くことのできないメディアとなっています。これに伴い経済活動も次第にネット上へとシフトしつつあります。厳しい経済環境にあっても、オンラインショッピングサイトの業績が好調なのは、その証左でしょう。
伝統的な企業にとっても、ネットは極めて重要なチャネルとなっています。そして何よりも、商品の開発から製造、販売、サポートに至るライフサイクル全体にわたって、顧客とつながる仕組みとなり得るものです。今、企業が取り組むべきは「ビジネスイノベーション」です。現在のビジネスモデルに囚われることなく、また、これまで培ってきたマーケティングのやり方や組織の在り方に縛られることなく、全く新しいビジネスやサービスが求められています。今こそ、企業にとって大切な顧客との絆を築き、彼らの満足度を高め、収益へと結びつけていく「Webセントリックマーケティング」で成功を掴むときです。
本セミナーでは、ビジネスの本質的な課題を解決する、Web中心のマーケティングについて解説するとともに、それを支える技術基盤やe-マーケティングのための具体的なソリューションを紹介します。
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石黒不二代(いしぐろ ふじよ)
ネットイヤーグループ株式会社代表取締役社長 兼 CEO
ブラザー工業、外資系企業を経て、スタンフォード大学にてMBA取得。シリコンバレーにてハイテク系コンサルティング会社を設立、日米間の技術移転などに従事。2000年よりネットイヤーグループ代表取締役として、大企業を中心に、事業の本質的な課題を解決するためWebを中核に据えたマーケティングを支援し独自のブランドを確立。日経情報ストラテジー連載コラム「石黒不二代のCIOは眠れない」など著書や寄稿多数。経済産業省 IT経営戦略会議委員に就任。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授