先週、ワシントンD.C.で開催された「Teradata PARTNERS 2009」で京王百貨店が新しい情報系システム「Sales-up Support System」と、それを軸とした業務改革の取り組みを紹介した。
先週、ワシントンD.C.で開催された「Teradata PARTNERS 2009」で京王百貨店が新しい情報系システムと、それを軸とした業務改革の取り組みを紹介した。
Teradata PARTNERSは、今年で開催24回を数える歴史あるユーザーグループ主催のカンファレンスだ。220以上のセッションが用意されているが、そのうち約70はユーザー企業によるもので、日本からも京王百貨店のほか、JCB、ふくおかフィナンシャルグループ、および楽天が選ばれ、その先進事例を紹介している。
この4月にフル稼働した新しい情報系システム「Sales-up Support System」のプロジェクトがスタートしたのは、大手百貨店の経営統合への機運が高まり始めた2006年だった。
再編の背景にはこの業界の長期低迷がある。売り場面積はそれほど変わっていないのに、10年前まで9兆円あった百貨店業界の売上高は今年は約7兆円にとどまるとみられている。個人消費の低迷やほかの業態への顧客流出に歯止めがかからず、さらに5年から6年後には5兆円まで落ち込むとの見方もある。
大手百貨店が、調達や物流のコスト削減を狙い、一斉に合併に走る中、年商約1000億円の電鉄系百貨店である京王百貨店も業務改革、とりわけそれに向けた意識改革が急務となっていた。
「主力の新宿店は、日に7万人、年間では2700万人が来店するが、幸いなことに売り上げの7割はカードホルダーによって占められており、さらにその売り上げの7割以上は上位2割のお得意客によって占められていた」と話すのは、京王百貨店営業本部営業企画部の保坂俊一部長だ。
京王線沿線の得意客に支えられており、いわゆるパレートの「80:20の法則」に近い。上位2割の顧客に対してさらに満足度が高まる施策を継続すると同時に、それ以外の顧客に対してはセグメントごとに効果的な施策を打つことで優良顧客になってもらえれば、大手の「メガ百貨店」に伍して、冬の時代も勝ち抜ける。
しかし、従来からあった情報系システムでは、マーチャンダイジングのシステムと顧客情報システムが分かれており、「どの商品が幾ら売れたか」と「だれが幾ら買ったか」は別々に把握できるだけだったという。これを新システムでは、またいで分析できるようにするとともに、ロールごとに必要な定型レポートにアクセスできるポータルを開発することにした。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授