庚寅の年は時代のターニングポイントに景気探検(1/2 ページ)

今年は60年に1度の「庚寅」。戦前、戦後の日本を振り返っても、庚寅の年は時代のターニングポイントになっているという。

» 2010年01月26日 11時10分 公開
[景気探検家・宅森昭吉,ITmedia]

 景気の一致指標である鉱工業生産指数(2005年=100)は、リーマン・ショックの影響で2009年2月に1983年7月の水準である69.5まで低下していたが、3月から9カ月連続で前月比増となり、11月確報値では88.0になった。水準は低いものの、ついに前回の景気の谷(2002年1月)に付けた87.0を上回った。これまではいわゆる「水面下の回復」だった。方向性では景気回復だが、水準からみて実感に乏しい状況であった。

 これを受けて11月分景気動向指数・改定値では、先行CIは前月と比較して1.3ポイント上昇した。一方、一致CIは前月と比較して1.7ポイントの上昇になった。

 内閣府の一致CIを使った景気の基調判断は、3カ月後方移動平均の前月差がプラス1.47と7カ月連続1標準偏差分を上回る大幅上昇で、「3カ月後方移動平均の前月差が3カ月連続で上昇」という、基調判断表の「改善」の基準を十分満たしているため、10月と同じく景気動向指数(CI一致指数)は「改善を示している」だった。

 参考系列の11月分では、一致DIが2カ月連続100.0になったが、これは1996年10月から1997年1月までの4カ月連続以来である。すべての一致指数採用系列が3カ月前に比べ改善していることを意味する。景気回復が幅広い分野に広がっていることを裏付ける数字と言えよう。

景気の後退局面入りは回避か

 日本の政権交代は短期的には成長率や物価の下押し材料になる。これはESPフォーキャスト調査「10月特別調査」での民間エコノミストのコンセンサスである。11月の消費動向調査や景気ウォッチャー調査などマインド調査は前月比で悪化した。11月の政府のデフレ宣言や円高進行後、11月29日の週から12月27日の週まで、「笑点」が「その他娯楽番組」のジャンルで視聴率第1位をキープした。1月は17日の週までで、第1位になったことはない。12月ではボーナスも少なかったため、お笑い番組を見て不況感を吹き飛ばしたい人が多かったのだろう。GDP(国内総生産)成長率は季節調整やゲタという統計上の関係などから、2009年10〜12月期は高めだろうが、2010年1〜3月期はもたつくかもしれない。

 足元、景気はもたつく可能性があるが、エコポイントなどの政策当面継続されることになり、日銀の新型オペ実施など景気面でのサポートが行われるため、景気の後退局面入りは回避されるとみる。

 先行指数はしっかりしている。2月に発表される予定の景気動向指数の先行CI 12月分でも前期比でかなり大幅のプラスが予想される。先行CIの採用系列では、消費者態度指数、日経商品指数、長短金利差、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの5系列の数字が1月25日現在判明しており、5系列分の寄与度の合計は前月差かなりのプラスになる。このため12月分の先行CIの前月差は今後のほかの採用系列の出方次第だが、1986年11月分から1987年11月分の13カ月連続以来の10カ月連続前月差上昇になる可能性がかなり大きい状況だ。

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