一方で、若者は決して捨てたものではない、という調査結果がある。
新入社員の働く目的で「自分自身を成長させる」ことを願うものは依然多く、「仕事を通じて社会に貢献すること」が増加傾向にあることは、注目に値し、心強いことではないか。
社長希望者は減少しているものの、管理職希望者は増え、肩書きにこだわらないものの特殊能力を身に付けたい者は依然多く、平社員のままを希望する者は減少している。
第2、3表から、今の若者は意欲がないとか、日本の将来が心配だなどと決して考えることはない。若者は、自分の将来をちゃんと前向きに考えているのだ。
では、若者をどのように教育すればよいのか。
まず、学校教育である。わたしがかねて主張しているのは小学校から中学、高校、そしてできれば大学でも、それぞれに「自然環境保護活動」や「福祉貢献活動」ののべ1カ月ほどのボランティア活動を正規教科として義務付けることである。その活動を通じて、子供や若者たちに人間として最も基本的な姿勢、すなわち自然を大切にし、人間を尊重し、思いやりのある精神が刷り込まれていく。
もう1つ、大学教育は入学が非常に易しくなったことを考慮して、卒業を難しくする必要がある。「入学試験が楽になった」「大学が受験生に選ばれる時代になった」「もう頑張らなくても大学生になれる」などとこぼしていても何も生まれないではないか。
さらに、企業内教育である。基本的に、企業は若者の教育を学校に期待してもダメである。大学は、企業人教育の場ではない。企業人の教育は、企業が自分の責任で100%行う覚悟を持つべきである。そのためには、経済産業省が定義した「社会人基礎力」に立ち返って、何を教育すべきかを考え直すのも1つの手だ。そして、企業内教育システムの体系化、OJT教育などを徹底するのだ。特にOJTなどは企業文化として定着させ、連続津波のように若い社員に襲いかからなければならない。
増岡直二郎(ますおか なおじろう)
日立製作所、八木アンテナ、八木システムエンジニアリングを経て現在、「nao IT研究所」代表。その間経営、事業企画、製造、情報システム、営業統括、保守などの部門を経験し、IT導入にも直接かかわってきた。執筆・講演・大学非常勤講師・企業指導などで活躍中。著書に「IT導入は企業を危うくする」(洋泉社)、「迫りくる受難時代を勝ち抜くSEの条件」(洋泉社)。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授