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» 2010年09月08日 14時24分 公開

チーム名は“笑う正直者”――システム・コーチングの現場〜その1ベストチームとは何か(2/2 ページ)

[島村剛, 森川有理(CRRジャパン),ITmedia]
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リーダーDさん

「早くもいろんな気持ちが聞けて、正直驚いている。この調子で、何でも話していけるといいかな。そうしてもらえると俺も話しやすいし。俺が約束できることは、そう、ここでの発言で君たちを評価しない、っていうことかな」

メンバーEさん

「それはありがたいですね。いろんなことを話して、Dさんにマイナス評価されたらどうしよう、という不安はやはりありますから。僕としては、やらないならやらない、やるんならやるではっきりさせて、皆で力を合わせたいですね。正直、今はまだまったくチームになっていないので、この先が不安です。僕の約束としては、ぼくは皆さんがやるならやりますよ。先ほど話し合ったとおり、重要な取り組みであることは理解しています」

メンバーFさん

「どんなムードといわれてもねえ……。僕もこの4人がチームだとはまだ思えていないんです。リーダーから評価の話がありましたけど、実際、このプロジェクトと人事評価って結びついているんですか? 結局“数値目標にこだわったもの勝ち”なんじゃないですか? もしそうではなくて、これが人事考課に影響するならがんばりますけど(笑)。わたしの約束は、もともと何でも言わせていただいてきたので、引き続きいつものスタイルでいきます」

メンバーGさん

「なんでも話せといわれたら、わたしには余裕がない、ということになるのですが、そんなスタンスでよろしければ、それを言い続けます」

 その後、チームリーダーDさんから、これが会社として重要な取り組みである以上、このプロジェクトでの活躍も人事考課上加味されると伝えられた。ただし、Dさんとしては、セッション中の各自の本音の発言を人事考課上の評価に影響させることはしない、という旨の説明と約束があった。ここで、チーム内の緊張感が幾分ほぐれ、空気が和んできたことで、さらにスムースに対話が進んでいった。

 その結果「何でも感じていることを正直に話す」という約束のもと、「ネガティブなことも笑って言い合えるムードにしていこう」という合意を形成することができた。

 その後、システムコーチからの次の投げ掛けで、「何があったらこの4人はチームであると実感できるか」という点について話し合う時間となった。早速先ほどの合意が威力を発揮し、和やかなムードの中でさまざまなアイディアが飛び出し、参加者の顔にも笑顔が浮かび、ときおり笑い声も聞こえている。そこで話題になったことから、チームになるための取り組みが浮上してきた。

 まず、チームに名前をつける。これは、幾つかの候補の中からチームの合意を表すものとして「チーム“笑う正直者”」となった。さらに、日々の仕事の中で互いに顔をあわせた際には、お互いに笑顔であいさつをしよう、という提案があり、次のセッションまでの間、この「笑顔であいさつ運動」をやってみよう、という案が採用された。この取り組みについては、全員が腹から納得しているとはいい難い状況ではあったが、時折会議室に響く笑い声が、明らかにこのチームがチームとして新たな一歩を踏み出し始めたことを物語っていた。

 次回は、「チーム内の感情を聞き取る」をテーマに、第2回目のセッションについてお伝えします。

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著者プロフィール:島村 剛(しまむら たけし)

筑波大学第一学群社会学類卒業。住友銀行より日本総合研究所に転じ、同社研究企画部長を経て2004年CTIジャパン代表に就任。その後2008年に(株)ウエイクアップ、2009年にCRRジャパンを設立。個人と組織の本領発揮を促し、「世のため人のために活躍する人材」の志と絆を育むべく活動中。共著書に「コーチングのプロが教えるリーダーの対話力 ベストアンサー」がある。CTI認定資格CPCC(Certified Professional Co-Active Coach)CRR認定資格ORSCC(Organization & Relationship Systems Certified Coach)


著者プロフィール:森川 有理(もりかわ ゆり) 

森川 有理

国際基督教大学教養学部卒業後、カリフォルニア大学サンタバーバラ校にてアジア太平洋研究修士課程修了。三和総合研究所(現 東京三菱UFJリサーチ&コンサルティング)国際本部研究員、リクルート、HCソリューション部、シニアコンサルタントを経て独立。現在、グローバルセンセーション代表 組織におけるチームビルディングや風土改革、夫婦や家族の関係性の強化、また個人の夢の実現など、コーチングを通じて、社会の中における個人が互いに認め合い、成長し合う関係性を支援している。CTIジャパンのリーダーとして、コーアクティブ・コーチングを伝えるとともに、システム・コーチ養成機関であるCRRのグローバル・ファカルティでもある。「コーチング・バイブル」(東洋経済)共訳。


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