ニュース
» 2010年09月15日 08時15分 公開

職場で実践できるアンチエイジングエグゼクティブのためのアンチエイジング(2/2 ページ)

[米井嘉一(同志社大学),ITmedia]
前のページへ 1|2       

健康増進で生産性向上

 わたしたちの調査ではエグゼクティブの方は自己管理能力が高いことが分かりました。一般従業員に健診結果を渡しても、1年間ほったらかしてますます悪くなることがしばしばあります。検診日の直前だけ断食したり、断酒したり……。しかしエグゼクティブは指摘されたことをしっかり直してくる方が多いです。

 これらの検診には抗加齢QOL(Quality of Life)共通問診票が使われます。産業医によっては「こんな問診票でなにが分かる。無理してよく書く人だっているではないか?」と言う人もあります。そうなのです。無理して実際よりもよく書いてしまう人が実は問題なのです。

 ストレスが過剰に加わった時にうつ病になりやすい人は、「完全主義で几帳面」「仕事や家事を人任せにできない」「融通がきかない」「人にどう見られているか非常に気になる」という性格が多いと言われています。実際にうつ状態になるとさまざまな症状を訴えますが、発症前の高ストレス状態にある時は、問診票成績と身体検査成績の間に乖離が見られることが分かってきました。これを利用すれば少しでも多くのうつ病発生をくいとめることができるでしょう。

 心の症状をどのように扱うか。とかく精神科医師に頼り過ぎのこの問題は、産業医や人間ドック・検診医のみならず多くの医師が避けて通れない問題になっています。共通問診票では、これまで軽視されがちであった「心の症状」にも重点を置き、「心の症状」と「身体の症状や所見」との関連を調べました。心と身体は決して別々に考えることができないほど密接につながっています。企業検診の項目に抗加齢QOL共通問診票を加え、母集団と比較することによって本当に様々なことが分かるのです。これが職場で実践してほしいアンチエイジング企業検診の第一歩です。

 エグゼクティブの方にはぜひとも抗加齢医学を学んでほしいと考えています。労働衛生、産業衛生の分野にアンチエイジング医学が加われば、従業員の健康増進に役立ち、皆が元気になり、欠勤率が減り、生産性が高まります。しかも病気も減り、健康保険組合の支出も減ります。エグゼクティブであるあなた自身のQOL向上はもちろん、従業員みんなの健康増進のためにも、職場でアンチエイジングの考えを生かしてほしいと思います。


著者プロフィール

米井嘉一(よねい よしかず)

同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンター教授

1958年東京生まれ。1986年に慶應義塾大学大学院医学研究科博士課程を修了後、UCLAに留学。1989年に帰国後、日本鋼管病院内科 人間ドック脳ドック室部長を経て、2005年に同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授就任。現在は同志社大学生命医科学部の教授を兼任し研究に尽力するほか、日本抗加齢医学会の国際担当理事として、アジア、ヨーロッパ、アメリカなど各国の抗加齢医学会との交流に努める。主な著書に「抗加齢医学入門」(慶應義塾大学出版会)、「アンチエイジングのすすめ」(新潮社)など。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆