リクルート カスタマーアクションプラットフォーム室の出木場久征室長は、情報誌市場で最強の名をほしいままにしていた営業組織の変革のプロセスにおいて中心的な役割を果たした。
9月に開催された早稲田大学IT戦略研究所主催のエグゼクティブ・リーダーズ・フォーラム インタラクティブミーティングのテーマは「内部から変われる経営」。リクルート カスタマーアクションプラットフォーム室の出木場久征室長は、情報誌市場で最強の名をほしいままにしていた営業組織の変革のプロセスにおいて中心的な役割を果たした。
リクルートの出木場久征氏は、現在カスタマーアクションプラットフォーム室の室長という役割を担っている。リクルートは就職、結婚、不動産購入など人生の大きな節目となるイベントの情報を扱い、成長してきた。同社は成長するにつれ、結婚ほど大きな節目ではないが、頻度の高いイベントの情報も扱うようになる。それが、旅行と飲食である。カスタマーアクションプラットフォーム室は、こうしたイベントに関する事業について統括している。売上高にして約1000億円を超えるという規模のビジネスである。
旅行は「じゃらん」という名前で紙の情報誌を発行し、ネットメディアとして「じゃらんnet」を運営している。飲食の情報は「ホットペッパー」というブランドで紙媒体とネット事業を展開しているが、今回は「じゃらん」の話が中心となる。
「じゃらん」発行はもともと海外旅行情報誌「AB-ROAD」の中で、国内向け旅行情報に関する企画記事を掲載したのがきっかけだった。思いのほか記事の評判が良く、国内向け旅行情報誌を作ろうということになったのだ。それが1990年のころだった。発刊当時はすぐに読者が増え、順調に広告掲載も伸びていった。このころのリクルートの情報誌は「じゃらん」だけではなく、すべての媒体誌が大きな利益を生み出していた。その快進撃は、媒体を開発する能力もさることながら、どんな媒体であろうと、広告主を連れてくる最強の営業組織の存在抜きには語れない。
就職、不動産情報誌で培われたノウハウと成功体験、これを支えに同社の営業組織は新しい対象の顧客にも果敢に営業をかけ、成果を上げていった。そしてそれがまた、新たな成功体験を作り出すわけである。
しかし、その勢いも曲がり角に来ていた。紙媒体での広告掲載だけでは売り上げが伸びなくなっていた。他社が90年代半ばから開始した旅行情報のネットメディア事業がじわじわと影響していた。そしてネットバブル崩壊前夜の2000年、「じゃらん」はネットメディア事業に進出する。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授