何かにつけて、「自分はがんばっています」と主張する部下がまわりにいないだろうか。なぜ彼らはそのような行動を取るのだろうか。今回はそのことについてお話ししたい。
細川社長の人気連載「問われるコーチング力」も併せてチェック!
秋が深まってきたが、秋はビジネスシーズンでもあり、忙しくしている人も多いだろうか。やる気に満ちている人もいればそうでない人もいると思う。
何かにつけて、「自分はがんばっています」と主張する部下がまわりにいないだろうか。なぜ彼らはそのような行動を取るのだろうか。今回はそのことについてお話ししたい。
ある銀行のK支店長は、部下のR君のことで頭を悩ましていた。
毎月初旬にその支店では支店会議を開いていた。その会議は、前月の目標を達成できたかどうかを確認するとともに、課題についても話し合うものである。
ある月の会議で、前月目標が達成できず、みんなで何が課題だったかを話し合っていた。R君に意見を求めると、次のような答えが返ってきた。
「わたしはできることはすべてやっていて、がんばっています。何も問題ないと思います」
会議が終わった後で、K支店長はR君を呼んで話をしてみた。
「R君は自分には何も問題ないと言っていたけれど、本当にそう思っているのかい?」
「わたしは言われていることはきちっとこなしていますし、やるべきことはやっています」
「新規顧客を獲得する目標があるけれど、それは達成していないようだが、それについてはどう思う?」
「新規の顧客には当たっていて、いい感触は得ています。来月にはどうにかなると思います」
別の月の会議ではR君は次のような発言をした。
「今月、わたしはすごい数値を達成しました。これは自分が頑張ったからだと思います」
K支店長は、少し独りよがりなR君をどうしたらよいか、考えあぐねていた。
ここでまずは理解してほしいことがある。それは、人は多かれ少なかれ、みな自己中心的であるということである。人は、人のやっていることより自分のやっていることをよく覚えていて、無意識のうちに相手よりも自分のほうが貢献していると考える傾向がある。
ある大学のバスケット部で試合の後に調査をしたところ、どちらのチームのどのプレーが勝敗を決めたかと質問すると、自分のチームのプレーがゲームを決定したと答える選手が圧倒的多数だったという。
自分をふり返って、次に当てはまると思うものはないだろうか。
人は自分の貢献をより高く見積もり、相手の貢献をより低く見積もるのである。人間の特性としてこれをまず理解しておくことが大切である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授