『積極的な他責』になっている人は、状況を何とかしたいと思うからこそ、他者にコミットと改善を求めます。しかし、それを受ける側からしてみれば、罪のなすりつけにしか見えません。
そして、犯人として槍玉に挙げられた人にも、「確固たる」言い分があるため、無自覚に他責・他者非難の姿勢に陥ってしまいます。
わたしは、このような他責・他者非難の姿勢を、まるでウイルスのように広がっていくことから、T2(他責・他者批判)ウイルスと呼んでいます。T2ウイルスは、一度火がつくと急速に組織全体に広がっていき、社員の心をバラバラにしてしまうのです。
人は社会的な動物であるがゆえに、孤立している状態を避けようとする傾向があります。企業という社会生活を行う場面において、「自分は誤解されている」「自分は精いっぱいやっているのに、批難されている」「自分の意見は受け入れられていない」という犠牲者の感覚になると、その不快感を解消するために、第三者の承認を得ようという動きをとり始めます。
しかも、本人もほとんど無自覚な形で、相手方がいかに理不尽で、それによって自分がどんな影響を受けているかを第三者に話し続けます。それは巧妙な他責化であるために、事情を知らない第三者の納得と同情を集め、相手方が仮想敵かのように仕立てあげていくのです。
そうした巧妙な他責化と同情集めは、実質シンパ(同情者)集めとなり、結果、組織内に派閥などが生まれ始めます。
このようなプロセスを経た結果、それぞれが自分の立場や主張に感情的に固執するようになり、より議論はすり合わなくなっていくという負のスパイラルによって、リレーションシップクライシスレベルはどんどん高まっていくのです。
最終回である次回は、リレーションシップ・クライシスを乗り越える解決策についてお話します。
オーセンティックワークス株式会社 代表取締役。社団法人プレゼンシングインスティテュートコミュニティジャパン 理事 株式会社野村総合研究所 IDELEA チーム パーソナルディレクター。「関係性から未来は生まれる」をテーマに、関係性危機を機会として集団内省を促し、組織の進化と事業転換を支援する事業を行っている。アンダーセンコンサルティング(現:アクセンチュア株式会社)他2社を通じてビジネスプロセスリエンジニアリング、組織変革、人材開発領域におけるコンサルティング事業に携わり、2005年に独立。約10年に渡り3000時間以上のパーソナル・ライフ・コーチ、ワークショップリーダーとしての活動を行うとともに、一部上場企業を中心にU理論をベースにしたエグゼクティブ・コーチング、組織変革実績を持つ。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授