周りを見渡すと、人当たりが良く優しいのだが、誰に対してもいい人でいようとする人はいないだろうか。
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3月11日(金)に東北・関東地方を大きな地震と津波が襲った。この地震によって亡くなられたかたがたのご冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、被災された方々やそのご家族のかたがたに心よりお見舞い申し上げる。
一日も早い復旧を祈っている。
日本を揺るがすような事態。未曾有な危機に直面するリーダーに求められることについては、次回お話しさせていただきたい。
周りを見渡すと、人当たりが良く優しいのだが、誰に対してもいい人でいようとする人はいないだろうか。今回はそのことについて触れたい。
<事例>
ある食品メーカーのBさんは、先日課長に任命された。
自分は和を重んじ、目くじらを立てるのが好きではなく、争いを起こさずに進めたいと考えている。
週1回の定例会議で新商品の販売計画について議論をしたのだが、B課長は部下たちから意見を求められた。
部下Xさん:今回の商品は○○を売りにしているので、主婦向けに大きな販促活動をするべきだと思うのです。
B課長:確かにそうだな。その方向でやってみよう。
部下Z君:でも、男性も○○の機能にひかれる人はいるので、それを見落としてはいけないように思います。
B課長:それもそうだな。その視点からも考えてみよう。
部下Xさん、Z君:課長、どちらにしたらいいのですか?!
B課長は、人はとてもいいのだが、リーダーとしての致命的な欠点を持っていた。それは、リーダーになってからは、人がいいだけでは務まらないということである。いい人でいようとすると、周りが振り回されるだけになってしまう。特にB課長の場合、部下のXさんの提言、Z君の提言に対して、どちらにも良いと言っており、どうしたらいいのか、周りの人も混乱してしまう。
「いい人」では、人はついてこなくなるだけである。
前回少し伝えたが、日本のリーダーの育成を見た場合に、間違った考え方があると思っている。
日本では、いい係長になって、いい課長になって、いい部長になって、そして、その先に役員、社長になるという順序を踏む。それだと、それぞれで「いい」役職であることが求められるので、その間に疲れ果ててしまうのである。役職によって求められることが異なるはずである。
経営者に求められるのは、会社を成長させることである。役員に求められるのは、自部門の成長や目標達成である。部長に求められるのは自部門の成長と課長の育成、そして会社に対して課題を提言することである。課長はある程度の実務能力が求められつつ、メンバーを育て、チームとして成長することである。
それぞれ役割、能力が違う――それを認識すべきである。
そして、自分が何を目指すのかを明確にする必要がある。
社長になりたい人であれば、世の中の流れを見ながら、会社をいかに成長させるか、戦略を考え、その戦略を実行して成果を出していかなければいけない。社長を目指す人はそういう仕事を率先してやっていく必要があるだろう。
自分が会社の中で何を目指していくのか、自分で明確にしておくべきである。それによって、モチベーションを高めて仕事を楽しむことができるのか、閉そく感や停滞感の中でやっていくかが、大きく変わるはずである。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授