前回は、「未曽有の危機に直面したリーダーに求められること」として、「思考の枠」に焦点を当ててお話しした。今回は、このシリーズの最後として、“If”という考え方についてまとめながら、危機に際してリーダーに求められることについて総括したい。
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今回は東日本大震災のような大災害が起きたが、現在は想像を絶するような危機が起きる可能性がとても高まっている。リスクマネジメントや危機管理という言葉をよく耳にするが、リーダーにとって最大の危機管理は何だろうか。
それは、「Ifが起こるかどうか」だとわたしは考えている。ドラッカーは予期せぬ危機に備えることがとても大切であると言っている。
歴史にIfは禁物だと言われる。
危機管理においては、このIfの考え方が欠かせないのである。
それらの最悪の事態を想定し、周到な準備をしなければいけない。会社の経営という面でも、どんな最悪の事態があり得るだろうか。いくつか考えてみよう。
これらを常に問いかけ、どうすべきかを考えておく必要がある。
先日ある番組で、東京ディズニーリゾートについて報道されていて興味深く見た。東京ディズニーリソートでは、東京ディズニーランドとディズニーシーを合わせて、年に180回以上避難訓練を実施しているそうだ。ある区画ごとに行っているようだが、3日に1回はどこかでやっているということになるらしい。
東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドのリスクへの感度は非常に高い。調べてみると、テーマパークという性質上、さまざまなリスクも抱えており、それらについてホームページ上でもとてもわかりやすく開示している。
「テーマパークの安全」という点では、「SCSE」―Safety(安全)、Courtesy(礼儀正しさ)、Show(ショー)、Efficiency(効率)という行動基準を掲げ、従業員に徹底して伝えている。
また、事業などのリスクについて、「ブランド低下に関するリスク」「オペレーションに関するリスク」「外部環境に関するリスク」の3つに分けて詳細にリスクについて開示している。
今回の地震などの災害については、以下のように書かれている。
「当社グループの事業基盤はほぼ舞浜に集中しているため、舞浜地区にて大地震や火災、洪水などの災害が発生した場合の影響が考えられます。東京ディズニーリゾート各施設につきましては安全性に十分配慮しているものの、災害発生時には施設や交通機関への被害、レジャーに対する消費マインドの冷え込みなどが想定されることから、一時的な入園者数の減少などにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。」
これらを明確に提示するとともに、備える準備をしっかりと進めている。「危機に備える体質」を持っていると言えるだろう。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授