「危機に備える体質」を身に付けるにはどうしたらいいのだろうか。次の2つになるだろう。
1、危機を洗い出し、対応を考え訓練する
自分の会社にどんなリスクがあるのかをまずは洗い出す。そして、そのリスクに対してどのような対応が可能かを考え、担当者を決める。それらが決まったら、あとは実地の訓練をする。
いくら準備をしても実際にやってみないと分からないことも多い。できると思っていたことができなかったりすることも多い。実際にやってみると、不備が見つかることがよくある。また、ある分野の担当者は1名としたけれどそれでは到底回らない、もしくは3名も担当者をつけたけれどここにはそれほど人はいらない。それよりも連絡網を作っておいたほうがいい……。
実際にやってみることで見えてくることがたくさんあるのである。なお、危機が起きた際には、社会的に及ぼす影響について考えてみる必要がある。会社の信用にどんな影響を及ぼすか、会社の業績にどんな影響が考えられるか。これらについても十分に想定しておかなければならない。
2、センサーを働かせる
次に、センサーを働かせることが大切である。センサーとは「適切な危機感」だとわたしは考えている。今は変化のスピードがとても速く、現在の状態がずっと続くと考えてはいけない。「今までこうだったから大丈夫だろう」というような考え方が通用しない、前例主義ではいけない時代である。
そのような時代を生き抜くには、適切なセンサーを持たなければいけない。それを持たないと、成長できず、足元をすくわれてしまうのである。日々センサーを働かせることで、リスクに対する感度が高まり、危機に備える体質が少し培われていく。
伝えたいのは、「危機に備える」体質は一朝一夕ではできないということである。日々センサー=適切な危機感を持って仕事に対峙していくことで培われていくのである。
センサーを持つために、わたしが自分の組織で実践していることは以下である。事あるごとに以下の質問を社員に投げかけるのである。「何かない?」相手が何もないと答えたら、「あれはどうなった?」と質問する。この質問に常に答えられるようになることで成長する。センサーが働くようになるのである。
それは自己管理についても言えるのではないだろうか。
私事だが、先日体調が少しすぐれず、病院に行き、CTスキャンを受けてきた。異常はないが、無呼吸症候群の疑いがあり、気を付けるようにと指示された。日々センサーを働かせていると、自分のちょっとした変化にも気付き早めに行動し、事前の対策を打てたり、大ごとになる前に対処できる。これは組織でも同じはずである。
うまくいっているようでそうでないことがたくさんある。自分が思っているよりも事態は深刻である。Ifの視点、健全な危機感は、これからのリーダーにも組織にも欠かせないのである。
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授