連載
» 2011年11月22日 08時00分 公開

グローバルへの道 SONY成長の軌跡:今、その成功から何を学ぶか (2/2)

[郡山史郎(CEAFOM),ITmedia]
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グローバリゼーションは自国を愛すること

 「グローバルへの道 SONY成長の軌跡」は過去の物語ではありません。あなた自身の、そしてあなたの会社の将来をより良いものにする試みです。価値あるものは、あなたの未来でありあなたの会社の将来です。過去でも、現在でもありません。もしあなたが現在の日本の状況に失望し、あるいは疑問を抱いているのなら、もう1度、盛田氏の言葉を引用しましょう。「われわれは、敗戦によってほとんど全てを失ってしまった。しかし残されたものがある、それは自分自身と、日本国と、将来である」(これは、ちょっと、風とともに去りぬの結末をもじったのかもしれませんが、本当の気持ちだったと思います。)

 盛田氏は海軍の軍人として、敗戦を迎えました。その盛田氏に限りない希望を与えたのは、東京通信工業を創立した井深大氏です。井深氏は海軍に納入するソナーを造っていました。盛田氏はその調達の担当です。2人はこの敗戦の原因は自分たちの技術力の不足であると考えていました。日本国をもう1度立ち上げるためには、技術しかない。技術者を集めて、その能力を最高に発揮させる会社を創ろう。そうして生まれたのが東京通信工業株式会社、SONYの前身です。

 井深氏は、東京通信工業株式会社(仮称)設立趣意書という、会社創立の前に書いた文書を残しています。社員20人余、井深氏38歳、盛田氏25歳の会社がやろうとすることを書いたものですが、会社創立の目的のなかに、日本再建とあります。日本という言葉が5回、国民が3回も出てきます。彼らは、負けた日本国を立ち直らせるということを、事業の目的にしていたのです。

 日本国を強烈に意識するということは、世界における日本の立場が身にしみているからです。それは、明治維新の時の志士たちと同じでしょう。盛田氏のグローバリゼーションは海軍士官としての敗戦に始まり、井深との出会いによって技術とビジネスでリベンジするという形で結実していくわけです。

 グローバリゼーションは自国を愛することに始まります。どのようなグローバリゼーションでも、自国の利益にならないものは破滅をまねきます。井深氏は1962年の社内報でも「皆さん、ソニーは日本のためにがんばっているのだ、といっても言いすぎだとはおもいません」と述べています。

 ソニーのグローバルへの道は、1946年、資本金19万円で始まりました。日本国の将来、輝かしい未来のために、廃墟の中での出発です。

「東京通信工業株式会社設立趣意書」抄

著者プロフィール

郡山史郎

株式会社CEAFOM代表取締役社長

1935年鹿児島県生まれ。一橋大学経済学部卒。1959年ソニー入社

スイス、米国に市場開拓マネジャーとして通算12年滞在。米国大企業に転じて、日本代表、北アジア担当、複数の関連会社の社長を歴任。1981年にソニーに復帰し、取締役情報機器事業本部長、常務取締役経営戦略本部長、資材本部長、一般地域統括本部長など歴任。2004年株式会社CEAFOM創業。

国際大学、早稲田大学、一橋大学、九州大学など講義、講師多数。外国人記者クラブ、証券取引監視委員会など講演多数。著書、「ソニーが挑んだ復讐戦」。

ソニー創業者、井深大、盛田昭夫、大賀典雄の直属幹部として永年経営に参加し、社長賞4回の実績あり。現在、多くの企業に対し、経営全般、グローバリゼーション、事業企画などのテーマでアドバイスを行い、また、役員、幹部社員の研修講演なども行っている。


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アドバイザリーボード

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆