毎日目の前のことに追われていないだろうか。忙しくても結果が出ない組織では仕事をしていないも同然。結果が出せるリーダーを育成するには。
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「忙しいのです」
「今は手いっぱいで、手が回りません」
こんな言葉を口にしている部下がいないだろうか。目の前のことを仕事だと思っている人が非常に多いのではないかと最近感じる。今回はそのことについて話したい。
<事例>
IT関連機器メーカーのK課長は、あるプロジェクトのリーダーになったL君にどんな目的でこのプロジェクトを進めるのか、方針を話し合えたらと思い朝声を掛けてみた。
K課長:L君、ちょっと話があるのだけれどいいかな?
L君:今日は仕事が立て込んでいて、時間が取れません。すみません。
K課長:それならば、明日の午後はどうだろう?
L君:分かりました。明日午後2時なら大丈夫です。
翌日午後2時にK課長が声をかけた。
K課長:今時間はあるかな?
L君:すみません。クライアントに急に報告書を出すようにと指示があり、今やっています。難しそうです。
K課長:それならば明日はどうだろう?
L君:明日は終日予定が入っています。
K課長:そうか。
L君:(心の中で:面倒くさいな〜)
K課長はどうしたものかと考えてしまった。
「忙しい」
簡単に口にするが、いったい何に忙しいのだろうか。もちろん日々の仕事でやるべきことはたくさんあるだろう。しかし、自分の目の前に置かれている仕事に追われて忙しくしているだけではないだろうか。
もちろん若い頃は覚えることも多く、目の前のことで手いっぱいになることもあるだろう。新入社員の頃にはそれでも構わない、目の前のことが仕事になる。しかし、ある程度経験を積み、何かのリーダーになったならば、目の前のことだけをやっていては意味がない。
自分がやっていることが、会社にどのような影響を与えるのか、自分が会社の利益にどのように貢献できるのか、会社全体としてお客さまにどのような価値を提供できるのか。その視点で考えないといけない。
組織の視線で組織の利益を考えないと、問題が起きる。そして、目の前のことばかりをやっていても、結果は出ないはずである。
結果が出ない組織にはどんな特徴があるだろうか。あらためて考えてみたい。もちろん外的な要因もあるだろうが、結果が出ない組織には共通して以下のような特徴があるのではないかと思う。
1、PDCAが回らない
2、部門間の連携が取れていない、もしくは不足している
まずは結果が出ていない組織では、PDCA(Plan, Do, Check, Act)サイクルが回っていない。現在は変化の激しい時代だが、ビジネスではPDCAをいかに早く回すかがとても大切になっている。結果の出ない組織では、組織も、そして組織に属する個人もこのPDCAサイクルが回っていない。
次に、部門間の連携が取れていない、もしくは不足している。部門間の争いがあり、自分の部署だけの利益を考えて動いているケースも少なくない。しかし、今の時代はある部署だけで勝っていくのはとても難しく、連携は不可欠になっている。しかし、その連携が取れていないのである。
それでは、この2つをうまく回す役目は誰が果たすべきだろうか。もちろん、リーダーである。しかし、現状は、「目の前の仕事」=「自分のやるべき仕事」と勘違いして、それで忙しいと自分の仕事をやった気になっている。それは仕事ではなく、作業といっていいかもしれない。
L君の場合、日々の作業に追われて、K課長が方針についてせっかく話をしようとしているのに、その機会をみすみす自分で失っているのである。
一方で、自分の仕事のことだけを考える、セクショナリズムがはびこっている。自分のことだけを考えていればいいので、ある意味楽なのである。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授