それでは、これを打開するリーダーを育成するにはどうしたらいいだろうか。
わたしは、次のことが必要だと考えている。
まず第1に若いビジネスパーソンにこそミッションやビジョンを語り、浸透させることが大切である。経営者やマネジメント層が、会社のミッションやビジョンを語り、組織として目指すものが何なのか。その中でリーダー個人に求めるものが何なのか、明確にして議論し浸透させることが大切である。ミッション、ビジョンと日々の仕事とのつながりを語る必要があるだろう。
次に、お客様への価値の提供について再度認識させる。お客様がいるからこそビジネスが成立し、成果が上がる。お客様にどんな価値が提供できるのか、日々の仕事の中でどのようにそれを落とし込むのか、話していく必要がある。
そして、マネジメント層が会社の方向性をしっかりと示すことである。変化の激しい時代であり、情報もいろいろと錯綜している。その中で会社がどこに向かおうとしているのか、それをしっかりと示し、だから君にはこういう役割を求めるということを明らかにする。時間軸を頭に入れさせ、会社の方向性を見ながら行動する習慣を身につけさせる。
最後に大局的な視野を持つことを知らせる必要がある。今は小さな仕事かもしれないが、それがどのように会社の経営に結び付くのか、将来に結び付けるのか、そんな観点を提供する必要がある。大局的な視点で、将来に対する目を若いうちから身に付けさせることが求められている。
欧米では、タレントマネジメントという言葉が浸透してきていると聞く。有能な人材に適切な教育を行い、育成していこうという考え方である。日本企業においてもその考え方を持つ必要があるのではないだろうか。
「忙しい」と言っていて仕事をやった気になっている人に、大局観を持ち、会社の経営を考えながら仕事をしていく姿勢を身に付けさせる。21世紀のビジネスパーソンには絶対に必要なのではないかと考えている。
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。「ビジネスマンの悩み相談室」は電子書籍でも配信中。「自分は頑張っていると主張する部下に悩む上司」「ぬるい部下に悩む上司」「若い人には横から目線で共感する」(各250円)
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授