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» 2011年11月24日 08時05分 公開

大震災の前後で本当に企業と企業人の社会意識は変わったのか――早稲田大学 IT戦略研究所 所長 根来龍之教授(2/2 ページ)

[山下竜大,ITmedia]
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リサイクルやグリーンIT、エコカーも……

 パタゴニアは、リサイクルに熱心に取り組んでいる企業であり、高性能アンダウェア「キャプリーン」を再生ポリエステルにリサイクルし、その再生ポリエステルで次の新製品をつくるという活動を推進している。

 またIT業界では、グリーンITへの取り組みが進んでいる。グリーンITは、地球環境に配慮したIT製品やIT基盤を活用する取り組みのこと、あるいは環境保護や資源の有効活用につながるIT利用を意味する。

 具体的には、高度交通システム、ペーパーレス化、テレワークなどに取り組む「ITによるグリーン化」、サーバ統合による消費電力削減効果などを狙った「ITにおけるグリーン化」、リデュース、リユース、リサイクルの3R活動を推進する「IT機器の製造・廃棄段階におけるグリーン化」の3つの取り組みがある。

 さらに温室効果ガスの総排出量の問題により、エコカーに注目が集まっている。特に成長が著しい中国やインドを中心に自動車普及率は増加しており、温室効果ガスの総排出量の問題は早急に取り組むべき問題となっている。そのためには、化石燃料からの脱却が必要であり、1つの解がハイブリッドカーとなる。

 根来氏は、「ハイブリッドカーの二酸化炭素排出量は、一般のガソリン車に比べて2〜3割削減程度でしかない。世界的な二酸化炭素削減目標における次世代自動車としては力不足」と言う。

 それでは、電気自動車は、解決策となるのだろうか。電気自動車は、排出ガスはゼロで、騒音が少なく静か、エネルギーの回収も可能だ。しかし、価格はガソリン車に比べて2〜3倍で、航続距離は160キロ程度、充電時間は6〜8時間(急速充電施設なら20分以上)かかる。また充電のためのインフラ整備も必要となる。

 根来氏は、以上から「ハイブリッドカーも電気自動車も、社会を意識した取組みだが、どちらが社会的に望ましいかは自明ではない」と言う。

事業活動を通じて社会貢献する

 根来氏は、「事業活動を通じた社会貢献は、論争をもたらす場合もある。善意がすべて肯定されるわけではないということを社会貢献活動も考えなければならない。あらゆる取り組みには、いい面もあれば、悪い面もあるという当たり前のことを常に意識して、いわゆるメセナ活動だけではなく、事業活動つまり顧客満足活動を通じて社会貢献することも企業は考えるべきだ」と繰り返し話し、講演を終えた。

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早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

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西野弘

明治学院大学 経済学部准教授

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