イノベーションを起こすにはどうしたらいいか。以下の2つのことが必要である。
1、お客様からの声に耳を傾ける
よくいわれることだが、クレームは宝の山である。クレームがビッグチャンスになり、真摯に聞いて改善に努めることが大切である。
わたしはビジネスコーチスクールを運営しているが、毎回の講座の後には必ずアンケートを書いてもらい、目を通している。そしてすぐに改善したほうがよいと思われることは改善し、次回の講座で生かしている。ここで心にとめておくことは、多数の意見も大切だが、少数の意見にイノベーションのヒント、種が隠れていたりするということである。それらを真剣に検討し、改善していくことが求められる。
ビジネスは「誰かの役に立っているか」が重要になる。ただし、「役に立っていますか?」と聞いて、「役に立っていない」という人はまれである。日本人は謙虚な人が多く、真実を口頭でいうのがはばかられる人もいるので、アンケートやクレームを大事にすべきである。
2、面白がるという視点
戦後いろいろな時代の流れがあった。最初は作れば売れる時代――その時には大量生産で価格を下げることが求められた。その後ものが豊かになるにつれて、マーケティングの時代になる。数十年くらい前からマーケティングが重視され、マーケティングで成長できた。しかし、今はそれだけでは不十分な時代である。マーケティング調査では全然売れないだろうと思われていたものが売れたりする。こだわって作ったものが売れたりする。
やはり何よりも面白がって作ることが大切ではないだろうか。直感、面白い、自分が楽しめることが重要である。
AKB48を生み出した秋元康氏はマーケティングを一切しないという。マーケティングは過去のデータであり、そこから新しいものは生まれない、と彼は言い切る。「こんなことをやったら面白いだろう」。そんな視点で、これまでのアイドルという枠を飛び越え、いろいろなことにチャレンジしてきた。自分たちが「こういうものがほしい、こういうサービスがほしい」というところにビジネスの大きなチャンスがある。今やっている中で「面白い」と思えるものを見つけてみてはどうだろうか。
今回は「戦略が確実に実行され、業績が上がる組織の動かし方」の最後に「戦略を実行してイノベーションを起こす」ことについて解説した。
改めて5つのステップは以下のとおりである。
戦略の目的を明確にするためには話を聞く、耳を傾けることが求められる
戦略を実行する第2ステップ――組織の成功循環モデルを知り、リーダーシップを強化する
戦略が実行されるためには、まずは「関係の質」を強化することがたいせつである。
人材を適材適所に配置することは戦略を実行するうえで欠かせない。
組織を束ねるには明確なミッションを持ち、それを浸透させることが重要である。
戦略を実行する第5ステップ――タクティックミーティングとアクションミーティング
戦略を実行するには、戦略を練るミーティング、行動に移すミーティングが欠かせない
これらを実践して戦略を実行する組織になり、ぜひイノベーションを起こしてほしい。
細川馨(ほそかわ かおる)
ビジネスコーチ株式会社代表取締役
外資系生命保険入社。支社長、支社開発室長などを経て、2003年にプロコーチとして独立。2005年に当社を設立し、代表取締役に就任。コーチングを勤務先の保険会社に導入し、独自の営業システムを構築、業績を著しく伸ばす。業績を必ず伸ばす「コンサルティングコーチング」を独自のスタイルとし、現在大企業管理職への研修、企業のコーポレートコーチとして活躍。日経ビジネスアソシエ、日経ベンチャー、東商新聞連載。世界ビジネスコーチ協会資格検定委員会委員、CFP認定者、早稲田大学ビジネス情報アカデミー講師。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授