まず考るべきは、あなたはその上司をバカだと思っているのか、それとも嫌いなのか、ということだ。
37歳は35+2歳なのか、40-3歳なのか?――連載「知って、できて、当たり前!? 37歳の常識」は、40代以降を充実して生きるための100個のルールをまとめた書籍「あたりまえだけどなかなかできない 37歳からのルール」の一部を加筆・修正し、許可を得て掲載しています。
本来上司は、自分の師匠であり尊敬の対象であるはずなのだが、残念ながら必ずしも尊敬できる人物ばかりではない。日本では、技術力があるから、あるいは営業力があるからという理由で管理職になっている人が少なくない。
もし上司が「こいつはバカだ」と思ってしまうような人間だったら、あなたはどうするだろうか。上司は選べないから、とあきらめてしまうだろうか。あるいは、とっととその場を抜け出す、つまり転職の準備を始めるだろうか。
僕は、バカな上司と上手に付き合ってみる努力をすることをお薦めしたい。あなたがバカだと思っている上司も、さらにその上、あるいは経営者から見れば何かしらの結果を出している人間であるはずだ。経営に近くなればなるほど、管理職を好き嫌いでは配置しないものだ。だから、どこかに彼、彼女の長所があるはず、というのが僕の考え方だ。
まず考えなくてはならないのは、あなたはその上司をバカだと思っているのか、それとも嫌いなのか、ということだ。さらに、バカだから嫌いなのか、あるいはその逆で嫌いだからバカだと思い込んでいるのではないか、ということも考えてみよう。
僕も過去にある。口から泡を飛ばして喋る人がいて、どうしても生理的に受けつけない。だから彼がどんなにいいことを話していても、耳に入ってこなかった。しかし彼は経営陣からは評判が良かったのだ。今から考えてみると、彼の意見は論理的であり、起承転結がはっきりしているため、判断を求められる経営者には分かりやすかった。しかし、残念ながら好き嫌いだけで判断していた僕には、その良さが理解できなかったのだ。
そして、もし本当にバカだと思っているのであれば、それはそれでその人が最も得意とするところで利用させてもらう。そして、上司の得意分野をパクらせてもらう。仮に他部門との調整がうまいのであれば、その上司と一緒に他部門に行って、上司がどう交渉しているのか、何をやっているのか、どう話しているのかを見てくることだ。何も投資しなくても、あなたのスキルを上げることができるかもしれない。
上司を評価するのは簡単だ。しかし、そこで終わらずにちゃんと見習うべきところをパクってこそ、上司との本当の付き合いになるのではないか。
大木豊成著
明日香出版社
1470円(税込み)
40歳を目前にした世代が、悩んだり困ったりしていることに対して、人生経験豊富な著者がアドバイスする。ソフトバンクグループで培った仕事術の他、家族、キャリアなどについて、100項目で指南する。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授