年収診断をすると、ほとんどの場合「今のあなたの年収は適正評価より低い」という結果がでる。それは診断にカラクリがあるからだ。
37歳は35+2歳なのか、40-3歳なのか?――連載「知って、できて、当たり前!? 37歳の常識」は、40代以降を充実して生きるための100個のルールをまとめた書籍「あたりまえだけどなかなかできない 37歳からのルール」の一部を加筆・修正し、許可を得て掲載しています。
インターネットでニュースなどを見ていると、「あなたの年収は適正ですか?」といった派手な広告が出てくることが多い。また「年収診断」で検索すると、たくさんの年収診断に関するWebサイトが見つかるはずだ。
こういう仕組みを運営しているのは、ほぼ100%人材紹介会社だ。
人材紹介会社の仕組みはこうだ。あなたがその会社に職務経歴書を渡して登録する。人材紹介会社の営業マンが顧客企業にあなたを紹介し、双方条件が一致して入社が決定すると、顧客企業から人材紹介会社に対し手数料が支払われる。これが人材紹介会社の収入源だ。人材紹介会社はいい人材を確保するのに苦労しているし、採用を渋る企業も増えているから、商売に苦労している。
そこで人材紹介会社は、自社独自のデータで年収診断サイトを作っているのだ。こういうサイトで年収診断をすると、適正と言われることは少ない。特に中小企業に勤めている人は、「今のあなたの年収は適正評価より低い」という診断結果が出ることが多い。しかし、それは好条件で転職できたときの年収を基準にしているからであって、現実とは乖離(かいり)していることが多い。
また、年収だけを見て、自分の仕事を悲観しても意味がない。自分の仕事の価値はそこだけではないだろうし、あなたへの報酬は給与だけではないかもしれないからだ。
ある友人の会社は、そんなに規模が大きいわけではないが社員食堂を持っている。そこに行けば、毎日300円台でランチをとることができる。近くで食べると1000円程度のものを300円台で食べられるのだから、その差額も報酬と考えることができる。
また、高額の年収の人は実労働時間が長いこともあるし、つらい仕事をしている人だって少なくない。僕自身も20代のころ円形脱毛症になったことがあるから、その辺りはよく分かっているつもりだ。
最近の言葉で言うとブラック企業となるのかもしれないが、入社前と後とで話が違うなんてこともよくある。年収ばかりに囚われずに、本当にやりたいことは何か、何をやるべきか、ということをよく考えることが必要だ。インターネットの年収診断だけで転職を考えることは、その判断を誤らせる可能性があると思う。
そんなことをしているヒマがあったら、目の前にもっとやるべきことがあるのではないだろうか。
大木豊成著
明日香出版社
1470円(税込み)
40歳を目前にした世代が、悩んだり困ったりしていることに対して、人生経験豊富な著者がアドバイスする。ソフトバンクグループで培った仕事術の他、家族、キャリアなどについて、100項目で指南する。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授