立ち昇る泡が見た目にも涼やかで、食前に1杯飲めば胃を刺激し口の中がさっぱりして食欲を増進するスパークリングワイン。その種類と選び方。
節電が求められる2度目の夏。今年もさらなる意識改革を図って、着るもの、食べもの、各種グッズから生活習慣までさまざまな工夫が必要になってきます。そんな時に活躍させたいのがよく冷やしたスパークリングワイン。立ち昇る泡が見た目にも涼やかですが、食前に1杯飲めば、胃を刺激し、口の中がさっぱりして食欲を増進する役割も持っています。さて、一口にスパークリングワインといっても、世界にはさまざまな種類があります。まずは主な製法と、フランス、イタリアの主要な2カ国の代表的なスパークリングワインを紹介していきます。
スパークリングワインは通常白ワインをベースになんらかの手段で泡を持たせたワインを指します。(ロゼやたまに赤のスパークリングもあります)品質の高いものほど複雑で豊かな香りを楽しめ、口の中に入れた時の泡のきめ細やかさ、持続性などが、美味しさ、価格に影響します。
(1)瓶内2次発酵法(シャンパーニュ方式):フランス・シャンパーニュ地方で造られる通称「シャンパン」に用いられ、また世界各国を代表する高品質のスパークリングワイン造りの手法。白ワインを瓶詰めする際に酵母と蔗糖を混ぜた液体(リキュール)を添加。密閉状態にし、酵母が瓶の中で糖分を分解して生じる泡(炭酸ガス)をワインに溶け込ませていきます。溶け込むための長い熟成期間を要するため、最も手間と時間を掛けた贅沢な手法です。
(2)トランスファー法:上記と同様に瓶内2次発酵を行います。違いは、瓶内にたまった澱抜きの手法を簡単にするため、複数本分の澱抜きをまとめて密閉容器で行う形式。瓶内における熟成期間がきちんと確保されていれば、遜色ない味わいに。ただし、手間は瓶内2次発酵同様掛かるため、実際にこの手法で造ることは少なくなっています。
(3)シャルマ法:タンクそのものを瓶に見立てて行う手法で、一度に大容量のワインに泡を持たせることができ、澱抜きもまとめて行うことができるため、多く用いられます。大量に生産できる点が大きなメリット。瓶内2次発酵で造られるものより品質は下回りますが、安価で手に入ります。
(4)炭酸ガス注入法:密閉容器内でワインにガスを溶かしこむ、最も工業的でシンプルな手法。手軽な方法なので、一番安価な製品になります。
フランス:
フランスで最も有名なスパークリングワインといえば、シャンパン(仏語ではシャンパーニュ)ですが、実は他にも色々な種類があります。区別するための一つの視点が、ワインの中に含まれる炭酸ガス(CO2)の容量。泡立ちの強さ、つまり「気圧」が異なります。
<ワインの名称>*瓶中の気圧(20℃の場合を目安)
・シャンパーニュ(Champagne):瓶内2次発酵法のみ。5〜6気圧。巷でよく見かける銘柄としては、ヴーヴ・クリコ、モエ・エ・シャンドン、ポメリー、ランソン、パイパー・エドシック、アンリオなど。
・クレマン(Cremant):瓶内2次発酵法のみ。3.5気圧前後。クレマン・ダルザス、クレマン・ド・ブルゴーニュ、クレマン・ド・ロワールなど、後部に「ド+フランスの地方名」が付く。
・ヴァン・ムスー(Vin Mousseux):シャンパーニュ地方以外で造られるスパークリングの総称。ソーミュール、ヴーヴレイ(フランスロワール地方)、ブランケット・ド・リムー、クレレット・ド・ディーなど。
・ペティヨン(Petillant):弱発泡性ワインのこと。1〜2.5気圧。
イタリア:
イタリアのスパークリングワインには、弱発泡性のスタイルも多く、また甘口や赤のスパークリングがあるなど豊かなバラエティが魅力です。また、イタリアには土着のブドウ品種が数多あり、フランスと比べても、その多様性は比較にならないほどです。
<ワインの名称>*瓶中の気圧(20℃の場合を目安)
・スプマンテ(Spumante):3気圧以上
・フリッツァンテ(Frizzante):弱発泡性ワイン。1〜2.5気圧。
<代表的な3つのスパークリングワイン>
・アスティ・スプマンテ(Asti spumante):産地はピエモンテ州。品種はモスカート・ビアンコ。優しい甘さで、食前やデザートのお伴にも良い軽やかなワイン。
・フランチャコルタ(Franciacorta):産地はロンバルディア州。品種は、シャルドネ、ピノ・ネッロ、ピノ・ビアンコで、瓶内2次発酵法のみで造られます。イタリアでも最もこだわりを持った醸造で、瓶内での最低熟成期間を18ヶ月間に定め、高い品質を維持しています。
・プロセッコ(Prosecco):産地はヴェネト州。品種はプロセッコを85%以上使用。フレッシュを楽しむ気軽な価格の普段飲みタイプ。
松浦尚子
(有)サンク・センス代表取締役社長
ボルドー国立大公認ワインテイスター
神戸大学教育学部卒。教育・出版会社ベネッセコーポレーションに勤めた後、フランスに渡り、世界の権威であるボルドー大学ワイン醸造学部が主宰する、日本人では数少ないワインテイスター専門家資格を取得。広島県の第3セクターのワイナリー設立にかかわり、米国・ボストンを本拠地とする投資会社に籍を置いて、日仏間で働く。通算5年間フランスに滞在した後、2002年秋に帰国。滞在中には、難関フランス文部省認定のフランス語資格試験DALFも全て取得する。帰国後、2003年4月に有限会社サンク・センスを設立し、代表取締役に就任。「フランス、ワイン、食」をテーマに、さまざまな切り口からこれまでにない発想でワインセミナー、イベントを中心にプロデュースを行う。2005年1月に立ち上げたサンク・センスワインCLUBには、ワインを軸に旅やグルメ、趣味など幅広い分野に関心を持つメンバーが集い、これまでにない質の高いコミュニティを形成している。また、フランス大使館主催事でのプレゼンターや六本木ヒルズクラブでのワイン講師、経営者を中心としたビジネスマン向けのワイン講演も数多くこなし、実績は多数。これまでに取り上げられた新聞、雑誌、ラジオ出演は数え切れない。富裕層向け雑誌や、大手都市銀行が運営するビジネス情報サイトなどでコラム連載も手掛け、多彩に活躍している。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授