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» 2012年08月21日 08時00分 公開

わが社のエースを紹介します田中淳子のあっぱれ上司!(3/3 ページ)

[田中淳子,ITmedia]
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人脈は共有財産

 それ以前に、そもそも上司や先輩は、部下や後輩を他社、他部署の人に積極的に紹介していくべきである。上司や先輩のようにキャリアの長い人間は、後輩たちよりは社内外に人脈を持っているはずだ。それは自分個人だけではなく、多くの若手と共有すべき財産でもある。

 機会があれば部下や後輩を、自分の知り合いや仕事先に紹介する。そうやって人間関係はつながっていく。若手はどうしても半径数メートルの人間関係で生きてしまいがちになるので、他者や他社の人と接することはとっても刺激になるし、学ぶことも多いはずだ。

 毎年、研修でお邪魔している企業がある。あるとき、ずいぶん前に私の研修を受講した方が「田中さん、研修後ちょっと飲みにいきませんか」と誘ってくれた。「もちろん!」と快諾し宴席に指定された居酒屋で待っていると、ほどなくして彼は1人の若者を伴ってやってきた。「うちの部に配属された新人です」と紹介してくれた。

 新入社員には「ほら、田中さんに名刺交換してもらいな。本物の名刺交換初めてだろ?」と笑顔でつっつき、促していた。

 「社外の方と会う機会があったら、積極的に交流しなさいと言っているんです。社内だけを見ていると思考が固まったり、価値観が偏ったりすることもあるから。社外の空気に触れることって意識しないとなくなっちゃうし」。「配属されたばっかりだけど、期待の新人なんです。だからこういう場に早くから連れて歩きたいなあ、と思って」とも話していた。

 新入社員にとって、社外の、しかもうんと年上の私との会食に同席するのは緊張することだっただろう。ずっと正座のまま周囲の年長者の会話に熱心に耳を傾けていた。もちろん、私も若手の彼が仕事のことをどんな風に考えているのかなどを直接聴けて、とても楽しい会食となった。

 この上司はその後も「田中さんがいらしているなら、ランチに誘ってご覧」「田中さんがいらしているんでしょ? 名刺交換だけでもしてもらいなさい」と彼の部下たちにたびたび促しているらしい。「○○の部下なのですが、あいさつするように言われてきたのでぜひ名刺交換を」「ランチ行きませんか? ○○からぜひお誘いするようにと強く言われまして」と、その後も照れ笑いの若手にたびたび声をかけられるのだ。マネジャーが後進を育てるに当たり、ずっと同じスタンスを保ち続けていることはとても素敵だと思う。



 社外、部署外の人に会わせること。その際には「褒めて」紹介すること。この2つで若手によい刺激とプレッシャーを与えていきたいものである。


著者プロフィール:田中淳子

 田中淳子

グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー。

1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタル イクイップメントを経て、96年より現職。IT業界をはじめさまざまな業界の新入社員から管理職層まで延べ3万人以上の人材育成に携わり27年。2003年からは特に企業のOJT制度支援に注力している。日経BP社「日経ITプロフェッショナル」「日経SYSTEMS」「日経コンピュータ」「ITpro」などで、若手育成やコミュニケーションに関するコラムを約10年間連載。


著書「速効!SEのためのコミュニケーション実践塾」(日経BP社)、「はじめての後輩指導」(日本経団連出版)、「コミュニケーションのびっくり箱」(日経BPストア)など。ブログ:「田中淳子の“大人の学び”支援隊!


Facebook/Twitterともに、TanakaLaJunko


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