沸き立つ会社を実現するためには、関係の質、思考の質、行動の質を高めることが重要になる。まず関係の質を高めるためには、リーダーが持つ「20の悪癖の改善」が必要になる。20の悪癖の改善は、エグゼクティブコーチングの第一人者マーシャル・ゴールドスミス博士が、著書『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』で紹介したもの。まずは自分でチェックして、次にほかの人に自分についてチェックしてもらう。このときのギャップが改善すべきポイントになる。
(1)極度の負けず嫌い
(2)何かひと言価値を付け加えようとする
(3)善しあしの判断を下す
(4)人を傷つける破壊的なコメントをする
(5)「いや」「しかし」「でも」で話を始める
(6)自分がいかに賢いかを話す
(7)腹を立てている時に話す
(8)否定、もしくは「うまくいくわけないよ。その理由はね」と言う
(9)情報を教えない
(10)きちんと他人を認めない
(11)他人の手柄を横取りする
(12)言い訳をする
(13)過去にしがみつく
(14)えこひいきする
(15)すまなかったという気持ちを表さない
(16)人の話を聞かない
(17)感謝の気持ちを表さない
(18)八つ当たりする
(19)責任回避する
(20)「わたしはこうなんだ」と言いすぎる
また自分が「現実派」「社交派」「理論派」「友好派」のどのタイプなのかを理解することも重要。このとき相手がどのタイプなのかを理解することで、関係の質を向上することもできる。細川氏は、「現実派の逆は友好派であり、社交派の逆は理論派である。こうした関係を知っておくことで、相手との良好な関係を築くことができる」と話す。
次に思考の質を向上について細川氏は、次のように語っている。「常に自分に対する重要な質問を意識しておくことが必要になる。まず、管理職としての自分のミッションは何なのか。次に自分が止めるべきことは何なのか。そして自分がやるべきことは何なのかである」
さらに行動の質を向上するためには、「うまくいったことは何か?」「うまくいった原因は何か?」「うまくいかなかったことは何か?」「うまくいかなかった原因は何か?」「次の一手は何か?」という5つの質問を毎週記入して、すべてのメンバーで共有する。このとき、予期せざる顧客ニーズがあれば、それについても記入しておく。
「5つの質問により、リーダーが何を考えているのか、ほかのメンバーが何を考えているのかを共有することができる。みんなで協力し、当事者意識を持つ。そしてKPIを作り、みんなで応援する。人間は目標や目的が明確になるとドーパミンという物質が排出される。このドーパミンがモチベーションを向上させるといわれている。ドーパミンが出ないとモチベーションは上がらない。つまり沸き立たない」(細川氏)
IT化、高速化、グローバル化により、より忙しく、より複雑に、リーダーを取り巻く環境が大きく変化した。リーダーシップにも大きな変化が訪れ、イノベーションが必要となっている。細川氏は、「求められているのは奉仕型のリーダーであり、世界に通用する本物のリーダーシップ、つまりサーバントリーダーシップである」と言う。
「イノベーションとは、これまでに培ったノウハウ、ドゥハウ、商品など、会社の財産を世の中のニーズに合わせて組み替えること。まったくの無から生み出すことではない。また、環境が急激に変化する不確実性の現在は、綿密に計画して実行する"計画主義"ではなく、よいアイデアを素早く実行して、素早く失敗する"学習主義"の時代である」(細川氏)。
サーバントリーダーシップを発揮するためには世界で成功している経営者が実践する8つの動きを手に入れることが必要になる。マーシャル・ゴールドスミス博士のリーダーシップの考え方を日本向けに解説した書籍「世界基準 8つの動き」で提唱している経営者が実践する8つの動きは、次のとおり。
(1)尋ねる
(2)耳を傾ける
(3)考える
(4)感謝する
(5)応答する
(6)関与する
(7)変化する
(8)フォローアップ
細川氏は、「私は一生勉強し続ける。そこで学んだことは、ほかの人の目標達成を手助けすることがミッションである」という趣旨のピーター・ドラッガーの言葉を紹介。最後に細川氏は、「いまの若者は失敗を極端に怖がる。リーダーは、どんどん失敗しろ、楽しめと言わなければならない。人生は一回。ぴりぴりしながらするのも仕事、楽しくやるのも仕事。ならば楽しく仕事をした方が良い」と話し講演を締めくくった。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
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明治学院大学 経済学部准教授