「求められる人」には共通点がいくつかあり、それは誰にでもできるようなほんのちょっとしたこと。物事をどう考えるか、それに基づいてどう行動するかである。
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ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。
長らく続いたデフレ、進むグローバリゼーション、そしてアベノミクスによる経済政策でまた変革しようとしている現代日本。
5年後に、会社はどうなっているのでしょうか? それは誰にも分かりませんが、ひとつ言えるのは「これまでと同じ考え方、やり方では、通用しなくなる」可能性が大だということです。
たとえ今はある程度の地位にあったとしても、また安定した会社にいるとしても5年後にはどの会社からも求められない人材になってしまっている、そんな時代がすぐそこに来ているのです。
では、5年後にも「求められる人材」とは、いったいどういうものなのでしょうか。
私はこれまでリクルート社の採用マン・事業担当者、また人材コンサルタント(いわゆるヘッドハンター)、人材コンサルティング会社の取締役として多くの社長やエグゼクティブと出会ってきました。
その中で気がついたのは、「企業が求める人材」には共通点がいくつかあるということです。そしてそれは、誰にでもできるようなほんのちょっとしたことができているかどうか、ということでした。
「求められる人」とそうでない人の差は、その人がもともと持っているポテンシャルや才能といったものではなく、物事を「どう考えるか」と、それに基づいて「どう行動するか」ということだけです。
もしも5年後も、会社から必要とされる人材になっていたいと思うのであれば、そのほんの一歩踏み込んだ「考え方」と「行動」を、今から身につけておくことが必要です。
そのためには、今まで「常識」だと考えてきたこと、行ってきたことも、今一度見直す必要があります。いくつか例を挙げてみましょう。
「毎日残業続きになるくらい、自分は仕事を任されている」
「いくら残業しても、仕事が好きだから平気!」
残業が多い人には、その働きぶりをこんなふうにアピールする人もいますが、残念ながらこれでは5年後、生き残れる人材にはなれません。今は安定している会社でも一寸先はどうなるか分からない。このような社会で、残業代を湯水のように払っても痛くないという会社はありませんし、会社にとって「残業する人=貢献してくれる人」という考え方は、今や時代遅れです。
事業のピークに合わせて、踏ん張りどころに残業をするというのであればいいのですが、毎日毎日残業をしているという人は、日中の仕事の密度が薄いのではないでしょうか。
刻一刻と状況が変わるビジネス社会では、スピード感がより重要視され始めています。人より「2倍の時間」をかけて仕事をする人よりも、「2倍速」で密度を高く仕事をする人のほうが、求められる人材であるのは言うまでもありません。2倍速で1日の仕事を終わらせた分、残りの時間は自己投資に使う。これが賢いビジネスマンの時間の使い方です。
進行中の仕事について、関係者から「どこまで進んでいますか?」というメールが来た際に、もしもその仕事が80%までできているとしたら、皆さんはどのように答えるでしょうか。
(1)すぐに、「80%までできているので、今日中には完成できる予定です」と返す
(2)100%まで持って行ってから、「できました」と返信する
この場合、ベストな対応は(1)です。もしも(2)のように返信してしまうと、相手は「メールは受け取っているのだろうか」「こちらのスケジュールをどのように組んだらいいのだろうか」と迷ってしまいます。
このように、相手が「なぜそれを知りたいのか」に思いやれず、自分の仕事の完璧さをアピールすることを優先してしまう人が、意外に多いのです。自分の評価を気にしすぎて、他人への配慮を忘れると、結果的に評価は落ちることになってしまいます。
仕事に余裕が出てきた30代くらいになると、「人脈を広げるために、積極的に交流会に参加しよう」という人が増えてきます。ですが、その多くが単なる「名刺交換会」。それによって、何が生まれるでしょうか?
そこにいる人に会うことで、自分はどのようなメリットを得ようとしているのか、具体的に描くことができていなければ、いくら通ってもそれは時間の無駄でしかありません。営業活動の一環だとしても、名刺交換よりももっと「濃い関係」を築けるような出会いを求めなければ、ほとんど効果はないでしょう。
さらに、他人が主催するこうした交流会にばかり参加している人を見ていると、「人脈はギブ&テイク」で築くもの、ということを忘れている人が多いようにも感じます。
自分の人脈を整理して、人と人との「引き合わせ力」を高めていけば、自然と「じゃあ、こちらはあの人を紹介しよう」と必然的に人脈は広がります。安くはない会費を払ってまで、何の関係もない他人にお膳立てしてもらう必要はなくなるのです。
また、他人同士を引き合わせていくことで、自分の情報は常に外へ流れていくことになります。「○○さん、最近はこんな活動をしているらしいよ」と、自分から発信しなくても、自然と自分自身の広報活動を他人が行ってくれるのです。「使える人脈」は、このようにギブ&テイクの人脈作りから成り立つことを心得ておきましょう。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授