子どもの頃の夢を実現し、さらにビジネスの幅を広げる材料に。大人になり新たな可能性を探る。
アイティメディアが開催している「ITmediaエグゼクティブ勉強会」に、富士通 インテグレーションサービス部門 戦略企画室長で、あしたのコミュニティラボ代表である柴崎辰彦氏が登場。「<夏休み特別企画>僕のオオクワガタ物語 〜パパクワッチ誕生秘話?!〜」をテーマに、オオクワガタの実物を観賞しながらそのリアルな魅力に迫るとともに、実際の飼い方までを紹介した。
「子どものころは、カブトムシやクワガタが大好きだった。しかし東京に来てから、そのことも忘れていた。2002年の夏に子どもたちにカブトムシでも飼ってあげようと、カブトムシのつかみ取りに行った。子どもは1年で飽きてしまったが、これをきっかけに自分はどっぷりオオクワガタにハマってしまった」と柴崎氏は当時を振り返る。
「富士通では、通信部門からマーケティング部門、システムエンジニアと様々な職種を経験。公私ともにサービスサイエンスの普及促進に関わっているが、クワガタの飼育もサービスサイエンス実証のひとつの"場"である。サービスサイエンスという学問に関わる前にはCRMを担当しており、学会で研究成果を発表していた」(柴崎氏)。
サービスサイエンスをクワガタの飼育で検証し、その結果に基づいた書籍「勝負は、お客様が買う前に決める」を発刊(ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート:ソーシャルメディアの活用で事前期待のマネジメントを実践を参照)。2012年にサービス学会が設立され、その発起人や総務省の「ICTことづくり検討会」に参加している。
柴崎氏は、「クワガタにおけるサービスサイエンスの研究活動は、簡単に言えば通信販売を行う場合にどのような顧客対応が最適かを検証することである。これまでは企業向けにCRMのコンサルティングを行っていたが、すべてを自分で体験してみたくなり、題材としてクワガタを使うことにした」と話す。
「クワガタをテーマにサービスサイエンスの論文を書いていたら、いろいろな人に興味を持ってもらい、ダイヤモンド社から本を出すことになった。クワガタの本が書けると思いよろこんで了解したのだが、編集部からクワガタの話はできるだけしないで、ビジネスライクに書いてほしいと言われてがっかりした(笑い)」(柴崎氏)。
クワガタの王様、黒いダイヤモンドなどと呼ばれるオオクワガタは野生個体では山梨県で捕獲された76ミリが最大であり、繁殖個体では87ミリが記録されている。「15年ほど前であれば、80ミリを超えると高級外車が買えるほどの値段がついたこともある。その後、あるブリーダーが温度管理やエサなどの工夫により飼育革命を起こし、80ミリ前後の個体が初心者でも飼育できる時代になった。メスは背中に点刻が入っているのが特長で、漆細工のように美しい」と話す。
小学校当時は関西に住んでおり地元の学校の裏山に古墳があり、そこに生えているクヌギの木でカブトムシやクワガタを捕まえていた。しかし当時は、オオクワガタは捕まえたことがなかった。その後、東京に来てクワガタのことは忘れていたが、2002年8月にカブトムシのつかみ取りに子どもと参加し、カブトムシとコクワガタを手に入れた。これにより人生が大きく変わった。
「それまでは、毎週ゴルフに行っていたがそのゴルフをやめた。週末は、すべてクワガタ。最初のオオクワガタは、ブリーダーから譲ってもらった幼虫を育てたものだが、これはいくつかの産地のオオクワガタを交配させた"ハイブリッド"と呼ばれるものだった。現在は、飼育しているすべてのオオクワガタについて飼育カードを作成している。この飼育カードには、産地や飼育内容がすべて記載されている」(柴崎氏)。
家庭崩壊の危機もあったというが、ちょうどそのころ専門雑誌で開催されたコンテストで、飼育していた85ミリのカブトムシがサイズ日本一に選ばれた。また同じ雑誌の「美形オオクワガタコンテスト」でも受賞したことから、「これにより家族にも認めてもらえた」と柴崎氏は笑う。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授