最速で成果を出すために、「やることを絞る」人になるビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

ガムシャラに目の前の業務に一生懸命取り組めば成果が上がるのだろうか? あなたの仕事を加速させる3つの質問に答えてみてほしい。

» 2015年04月16日 08時00分 公開
[伊庭正康ITmedia]
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「忙しさ」を疑ってみる

 果たして、本当に「労働時間数」と「成果」の間には相関はないのでしょうか? 面白いデータがあります。人材派遣大手のリクルートスタッフィングの調査。自社の従業員を調べたところ成績優秀者に短時間勤務の人も多く、「営業成績と労働時間に相関は見られない」とデータを開示してくれています。きっと、みなさんの思いも同じではないでしょうか。

絶対に残業しない人の時短(しごと)のワザ

 でも、私たちは親の仇のように残業をやめません。なぜでしょうか。それは「残業を手放すことに不安」があるからです。「迷惑をかける"かも"」「明日、困る"かも"」「評価を下げる"かも"」。この"かも"の不安を鎮めるために、ムダな業務だと思いながらもヤメられない、というのがムダな残業の本性。

 言い換えると、「残業をやめてはならない理由」があるとも言えます。そうなると、やめたくてもやめられません。つまり、「中毒」と同じ。せっかく目の前の業務が片付いても、「何か出来ることはないか」と探してしまうことでしょう。

 まず、最速で成果を出すためには、「目の前の忙しさ」を疑う目を持つことが最初の大きな一歩なのです。

成果を出すために、「やらないこと」を決める

 最速で成果を出すためには、ガムシャラに目の前の業務を一生懸命することも大事ですが、優先順位をつけ、「やらない」と決めることは更に重要です。やめるだけで成果が2倍になる例もあります。

 例えば、支援した営業コンサルの事例ですが、無作為に抽出した1000社のリストにアプローチしていた営業マンが、あることをやめただけで、すぐさま契約率が2倍になりました。やめたのは、効率の悪い訪問。業種別、従業員規模別に契約率を抽出し、契約率の低いものへのアプローチをやめただけ。つまり、契約率の高いところへのアプローチに絞ったわけです。新たに投資をすることも、残業して頑張る必要はありませんでした。このように、「やめること」を決めただけで、契約が2倍になることもあります。

 また、私が前職で採用成功課金の求人サイトの立ち上げを担当した時もそうでした。成果課金なので、掲載をするだけではお金になりません(掲載料ではなく、1人採用が決まるごとに課金されるシステム)。立ち上げ当初は、メンバー全員で求人広告の掲載をガムジャラに増やす試みもしましたが、成果課金のビジネスでは思ったほど成果は得られませんでした。調べると、人気企業に応募が偏っており、もちろん応募の多い人気企業は競争倍率が高く、ほとんどの応募者が不採用になっている事実が分かりました。儲からないはずです。

 そこで、対策として求人広告の掲載を減らすことを決めました。「これ以上、営業をするな、むしろ掲載を停止しよう」と指示しました。具体的には、たくさんの応募があるのになかなか採用しない「たくさんの人を断る人気企業」の掲載を停止したのです(もちろん、合意を得て)。人気企業の掲載を断るのは勇気がいりましたが、一瞬で売上は数倍になりました。今まで不採用になった多くの応募者に申し訳ないなと反省しました。

 これはすべてのことに言えます。効率の悪い誰のためにもなっていないことは、今すぐやめるべきです。ガムジャラに頑張るより、短時間で結果を出すことができます。

「量」を増やす前に、「率」を高めておく

 私の本でも紹介しているのが、「お見合い21連敗中の男性」のエピソード。彼は気合をいれて、22回目のお見合いに挑戦します。しかし、残念ながら失敗。そして彼は言います。「トライあるのみ。次こそ、がんばります」と。

 果たして彼は、23回目で成功するのでしょうか。もう、おわかりですよね。そう、彼は勝負する前にやるべきことがあるはずです。これをやれば勝てるというシナリオを持ってから勝負に挑むことが必要です。

 さて、これはビシネスでも同様。ビジネスではこの「勝てるシナリオ」を持つことを「KSF(成功の鍵:キー・サクセス・ファクター)」を立てると呼び、成果を出すための鍵は何か、その「KSF」を特定することからスタートします。

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