「会話が苦手」と思っている人、では挨拶はできているか。実は雑にやっていると、できていないことにも気づかない。会話の一歩手前の挨拶ができているかルールをチェックしてみよう。
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「会話が苦手」と言う人も、「挨拶ぐらいはできる」と思っています。
これは勘違いです。
その挨拶が、雑なのです。挨拶をおろそかにして会話をしようとしても、しくじるのです。
市立柏高校の吹奏楽部は、全国でも常にトップクラスです。吹奏楽の練習の前に、まず、挨拶の練習をします。挨拶ができないと、吹奏楽は呼吸が合わないのです。管楽器の基本は呼吸です。呼吸の基本となるのが、挨拶です。
私は「会話のない人は挨拶をしよう」とアドバイスしています。
「会話が苦手」と思っている人はいますが、「挨拶が苦手」と思っている人はいないのです。雑にやっていると、できていないことにも気づきません。会話と違って、挨拶はできなくても認識しにくいのです。
まずは、きちんと挨拶をしてみると、自分がいかにちゃんとできないかが分かります。会話が苦手なのは、その一歩手前の挨拶ができないところに原因があるのです。
挨拶には、10のルールがあります。
今日、自分が誰に挨拶をしたかをノートに書き出してみます。その中で、自分からした挨拶に○をつけます。振り返ってみると、自分からした挨拶は1つもないのです。
誰かに「おはようございます」と言われて、「おはようございます」と返します。これは挨拶には入りません。自分から先にするのが挨拶です。
誰かに挨拶されて返すのは、返事です。これは、挨拶にはカウントしません。つまり、挨拶をミスったということです。
挨拶は早押しクイズです。先に押されたら回答権がなくなります。たとえ正解でも、2番目の答えはクイズ番組では正解になりません。ランプがつかないのです。
自分から先に挨拶のできない人は、挨拶ができるとは言えません。会話力のない人も同じです。常に受身で、誰かからされたらしようと思っています。「様子を見よう」という傍観者の姿勢なのです。
会話は、参加することで成り立ちます。出演者がクイズ番組に出ていて一番感じるのは、自分のボタンのライトがまったくつかないことです。早押しに負けるのは、参加意識が弱いからです。テレビを見ている側の気分でクイズ番組に出ていたのです。それでは勝てません。
芸能人のすごさは、出る側の意識でボタンを叩いていることです。TVを見ている意識のまま出ると、遅いのです。TVを見ている人は、「あんなの簡単じゃないか」と思っています。実は、視聴者は、必ずTVで誰かが叩いたあとに答えています。
クイズ番組で一番大切なのは、ボタンを押すことです。挨拶は、ボタンを押すのと同じです。相手に声をかけられる前に声をかけます。人数を増やす必要はありません。今まで先に声をかけられていた人に、自分から声をかけるだけで変わってくるのです。
「ちゃんと挨拶をしています」と言う人のほとんどは、声が出ていません。「心の中でしています」とか「小さい声で言っています」と言いますが、そんなものは挨拶に入らないのです。
相手が気づくような大きな声を出してするのが、挨拶です。
会話の苦手な人も、自分の中では会話が成立しているのです。それは相手に通じません。会話も挨拶も、自己満足ではなく、相手に届くことが大切です。会釈とか目礼では、届かないのです。
声に出した挨拶に○をつけてもらうと、ノートに書いた挨拶はもっと減って、ほぼ消えてしまいます。会話も同じです。まず、声に出すことです。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授