なぜ本音を言えないのか、なぜ本音で生きられないのかのほうが分からない。
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ネットやテレビでもおなじみの堀江貴文氏だが、その著書『本音で生きる』がオリコンの上半期新書部門で1位にもなり、話題にもなっている。そんな堀江氏にとって「本音で生きる」とは何か。
「本音で生きる」というタイトルを依頼された時、正直、何もピンとこなかった。
本音で生きる。
むしろ、なぜ本音を言えないのか、なぜ本音で生きられないのかのほうが、僕には分からない。
「失敗が嫌だから、やらない」
「あとで何か言われそうだから言わない」
「嫌われたくないから、突っ込まない」
それで何かいいことがあるのだろうか。
皆さんもお分かりだと思うが、世の中はすべて「いいか、悪いか」「ゼロか、100か」で割り切れるものではない。たとえその時意見が食い違っても、その相手まで嫌いになることはないし、失敗したとしても、未来永劫失敗のままでいるわけはない。
だとしたら、まず言いたいことを言って、やりたいことをやったほうが、よっぽどいいのではないだろうか。
それにしても、日本人の議論を避ける傾向、いや全員が同じ意見でなければならないという強迫観念はいったい何なのだろうか。
僕はこれまでにさまざまな人と対談してきた。なかには、意見が合わない人もいたし、議論がまったくかみ合わなかった人もいる。「お互いの価値観が異なっていることが分かる」というのは、とても大事なことだ。
なんとなく分かったふりをして終わるのと、たとえ自分の価値観と違っていても、しっかり相手の意見を聞くのとでは、どちらが「相手のことを知る」ことになるだろうか。
たとえまともな議論にならず、ケンカになっただけだとしても、人と議論することが無意味だとは思わない。僕は、意見が一致しないからという理由でその人のことを嫌いになったりはしない。意見が一致しないことと、相手を嫌うということは、そもそも、まったく別のことだ。
だから僕は、対談だけでなく、ソーシャルメディアでも積極的に人とぶつかり合おうとしている。それは、その人が嫌いだからだとか、人格を否定するためではない。違う意見を持った者同士がぶつかることで、新しい発見があるからだ。
それなのに、「議論は一致しなければ意味がない」「意見が一致しない=相手のことを嫌いなんじゃないか」と思う人がいかに多いか。「We agree to disagree」(僕達は分かり合えないことが分かり合えた)でよいのだ。「価値観や意見が違う」ことが分かることが大事なのだ。
周囲の「空気」や同調圧力など気にしてもしょうがない。同調圧力をかけてくる奴らは気持ち悪いが、それを気にして同調するのも同じくらいに気持ちが悪い。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授