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» 2017年01月18日 07時18分 公開

経営トップに聞く、顧客マネジメントの極意:インターネットサービスだからこそ実現できる、より本質的な価値の提供、独自システムによる細やかなサービス (2/2)

[聞き手:井上敬一、文:牧田真富果,ITmedia]
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独自システム「リブセンスアナリティクス」によるユーザー体験の向上

井上 顧客満足度を高めるという観点で、リブセンスならではの取り組みはありますか。

村上社長(左)と聞き手の井上氏

村上 今注力しているのは、サイト上のユーザーの動きの細かなデータを取ることです。顧客満足度を高めようと考えたら、まず実施しなければならないのは、顧客の声を聞くことです。顧客の声というと、アンケートと思いがちですが、インターネットの時代は、サイト上でのユーザーの動きそのものが「声」になります。

井上 なるほど。ユーザーの動きをどうやって把握しているんですか。

村上 2年ほど前から「リブセンスアナリティクス」という独自のシステムを導入しています。ユーザーがどれくらいサイトに滞在したか、何ページ閲覧したか、どこまでスクロールしたか、どこをクリックしたかなどがデータとして残るようになっています。リブセンスアナリティクスにより、ユーザー一人ひとりのアクセス状況が分かり、ユーザー体験の質を高めるためのスピーディーな改善も可能になりました。

 掲載求人についても、記事ごとに何回検索結果に表示されて、何回クリックされたかなど、ログが残るようになっています。

井上 リブセンスアナリティクスによって、インターネット上だからこそできるきめ細かいサービスが実現できているんですね。具体的にどのような取り組みをしているのですか。

村上 ユーザー体験をよりよいものにする仕組みのひとつとして、レコメンデーションメールがあります。アクセスした日の次の日に、ユーザーに閲覧記録をもとにおすすめの求人情報を届けています。

 ユーザーのサポート、情報の管理、アクセス履歴もすべて把握できるので、企業が採用管理画面にアクセスすると、営業担当にメールが送られる仕組みもあります。そのタイミングで電話をするとすぐに電話に出てもらえることも多いです。サイト上のデータが全て見えるので、適切なアプローチができます。

井上 その他、ユーザーの声を拾う仕組みはありますか。

村上 「ジョブセンス」「ジョブセンスリンク」では、ユーザーへ採用のお祝い金をプレゼントしているので、そのタイミングでアンケートに協力いただいています。直接ユーザーと会って話をうかがうこともあります。

井上 ユーザーの声を集め、その後どのようにサービス向上に生かしているのですか。

村上 ユーザーの声をヒントに切り口を得て、データとともに分析をします。「使いにくい」という声だけで判断をするのではなく、実際にどこでサイトから離脱しているか、数字を見て分析しています。ユーザーの声をベースに仮説を立て、数字で確かめて、具体的な改善策を出しているのです。

 リブセンスアナリティクスという解析システムができたことによって、インターネットサービスの運営が大きく変わりました。解析システムがなければ、大まかな分析から推測で改善するしかありませんし、新たにサービスを立ち上げる際も大きな力を発揮すると感じています。今後、解析システムや一定量のデータを持っている企業とそうでない企業とでは、サービスのクオリティに大きな差が生まれると考えています。

井上 ユーザー体験を向上させる細やかでスピーディーな取り組みの積み重ねが、ユーザーを幸せにする顧客満足度の高いサービスにつながっているのですね。最後に、今後の展望を聞かせてください。

村上 既存のサービスをまだまだ世の中の「あたりまえ」として浸透させることができていないので、「あたりまえ化」していくことを目指します。リブセンスのロゴになっている「しずく」に思いを込めたように、「雨垂れ石を穿(うが)つ」の精神で、根気よく徹底した努力を積み重ねていきます。

 その上で、リブセンスアナリティクスや、これまで培ったサイトをつくるノウハウをもとに、新たな「あたりまえ」を生み出していきたいと思っています。

対談を終えて

 新サービスの導入、顧客へのレスポンス、戦略の練り直しなど、全てにおいて、ものすごいスピード感を感じました。現代のインターネットサービスを取り扱うには、広範囲な領域に迅速に対応しなければ、顧客満足は得られないのだと改めて分かりました。このスピード感こそが東証一部上場の史上最年少経営者へと押し上げた要因であることは、容易に想像ができます。

 それでいて、村上氏にあるのはスピード感だけではなく、持久力です。会社のロゴに込めた「雨垂れ石を穿(うが)つ」という想いを実直にこなし、革新的なサービスを生み出した後は、常に改善に努めています。最も驚いたのは、インターネットサービスでありながら、ログを取ることによる、あたかも目の前で会っているかのような細やかなコミュニケーションサービスです。

 瞬発力と継続力、経営にとって最も大切な二面を兼ね備えている方だと感じました。屈託の無い笑顔の下に隠された限りない情熱で、今後も世の中の「あたりまえ」を発明していってもらいたいです。

プロフィール

井上敬一

ブランディングコミュニケーションデザイナー

株式会社FiBlink代表取締役

兵庫県尼崎市出身。立命館大学中退後、ホスト業界に飛び込み1カ月目から5年間連続ナンバーワンをキープし続ける。当時、関西最高記録となる1日1600万円の売り上げを達成。業界の革命児として、関西最大規模のホストクラブグループの経営業を経て、現在は実業家として企業、個人のブランディングやアパレル、サムライスーツなどのプロデュースを手掛ける他、人に好かれるコミュニケーションを伝える研修・講演を展開している。また、WEBセミナー「プレジデントキャンパス」により、中小企業経営者の学びの場をもっと身近なものにして日本経済を牽引する役割を目指す。

圧倒的な実績に裏付けられたコミュニケーションスキルをわかりやすく説く講演は、多くの企業・団体から支持を受けている。これまで数多くのメディアに取り上げられ、独自の経営哲学で若いスタッフを体当たりで指導する姿はフジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』で8年にわたり密着取材され、シリーズ第6弾まで放映されている。

 主な著書に、「ゴールデンハート」(フジテレビ出版)、「人に好かれる方法」(エイチエス株式会社)などがある。


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