教える、教えられる関係は、会社では上司と部下、スポーツではコーチと選手、習い事では先生と生徒など、いろいろなところにある。その心構えとは。
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教える、教えられる関係は、会社では上司と部下、スポーツではコーチと選手、習い事では先生と生徒など、いろいろなところにあります。
そのパターンをまとめると、
(1)師匠と弟子
(2)サービスマンとお客さま
の2通りしかありません。
習い事で多いのは、生徒をお客さまにしてしまうことです。生徒をほめて、また来てもらうことが、サービスマンの目的です。生徒側としては、自身の成長よりも満足を得るようになります。あたかも商品を買うかのごとく習い事をしに行く関係が、教える場では起こりがちです。
教える側は、本当は師匠と弟子の関係でいたいのです。お客さまにしてしまうと、厳しいことが言えなくなります。とはいえ、厳しいことを言えば、生徒が来なくなります。ビジネスで考えれば、背に腹は代えられず、お客さま扱いするのです。
ここで教えられる側の成長は止まります。
上司と部下の関係でも、「なんでもっとほめてくれないんだ。私はほめられて伸びるタイプなのに」と言う部下が多いのです。
習い事なら、もっとほめてくれるところに行きます。会社の場合は、隣の部署の上司はほめてくれて、直近の上司はほめてくれないことがあります。ここで隣の部署に行きたいと思う人は、結局、自分の成長よりも他者承認を求めているのです。
こういうことが今、世の中にまん延しています。
本来、教える、教えられる関係は教育産業であるのに、サービス業に変わってきているのです。自分が教えられる側になる時は、お客さまではなく、弟子になる覚悟が必要です。そうすれば、「なんでもっとほめてくれないんだ」「先生の都合に振りまわされる」「上司が自分の主張を押しつけてくる」という文句がなくなります。
成長もできるし、ストレスもなくなるのです。
プロから厳しいことを言われるのは、教わる側としてはつらいことです。そのつらさから逃避しようとして、「あの人のあれはいいんですか」「これができない人がたくさんいますが、どうしたらいいんでしょうか」という聞き方をしがちです。
ほかの人のことを挙げて、自分のことから話をそらそうとするのです。これをすると、その場のつらさは回避できますが、自分の成長にはつながりません。
一流の人は、どこまで行っても、「私はどうすればいいのか」「私のどこがいけないのか」「私は何を改善したらいいか」と、「私」について聞いてきます。つらくても自分のことから逃げないのです。
質問をする時は、自分のことについて聞くことです。ほかの人が気になり始めるのは、自分のことから逃げようとしているのです。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授