人間には、
(1)プロ
(2)プロのすごみが分かる人
(3)プロのすごみが分からない人
の3種類がいます。
いきなりプロにならなくてもいいのです。スタートは、プロのすごさは分かりません。まずはプロのすごみが分かる人を目指します。プロのすごさが分かれば、素直に教わることができます。
半人前の人は、つい「自分はプロとそれほど違わない」と思いがちです。そうなると、「ホントかね」とか「これでいいんだろうか」とか、プロの話を素直に聞こうという気持ちがなくなります。1歩間違うと、教えてくれるプロと張り合おうとしてしまいます。
半人前とプロとの距離感は、上から下は分かりますが、下から上は分からないのです。
習い事を始める人は、「すぐ先生のようになれる」というのが初期動機です。とはいえ、しばらく習っていると、「これは遠いぞ」と分かってきます。ここでワンステップ上がったのです。
教わることの一番大きな意味は、プロのすごさを尊敬できるようになることです。教われないことの危険は、プロをなめてかかり、仕事をなめてかかり、生きることをなめてかかることです。
「資格を取ったのに食べていけない。どこでも就職できると思っていたのに仕事の依頼が来ない」と言う人がいますが、たかだか3カ月ぐらいで取った資格です。そんなもので一生食べていけるわけがありません。
「その資格で食べている人がいる」という反論が出ますが、その人は10年も20年もかけて、その道の修業をしている人です。食べていくことに対して、なめてかからないことです。
教えている側は、まったく同じことを言っています。教わっている側が、どう感じるかです。明らかに優しく教えているのに、二流は素直に受けとめることができません。
「叱られている」→「嫌われている」→「いじめられている」→「パワハラされている」と、話がどんどん変わっていきます。
「私、いつも叱られているんです」と言う人に「こうしたらいいよ」とアドバイスすると、「また叱られました」と言われます。教える人は、「怒りっぽい人」という印象にならないように、頑張って優しく教えています。それを「叱られている」と取られたら、教えるほうのモチベーションがなくなるのです。
教えるには大変なエネルギーが必要です。「教えたくてしようがない」という人は、いません。いたとしたら、その人は二流です。一流は、自分の修業で一生懸命頑張っています。教えることが本業ではなく、「聞かれたから教える」という形です。
「あの人は教えたいから教えている」と解釈するのは、人の好意に対して感謝の気持ちがなさ過ぎます。厳しくされればされるほど、「いいことを教えていただいた」と喜べる人が一流なのです。
1959年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部演劇科卒業。博報堂勤務を経て、独立。91年、株式会社中谷彰宏事務所を設立。
【中谷塾】を主宰。全国で、セミナー、ワークショップ活動を行う。【中谷塾】の講師は、中谷彰宏本人。参加者に直接、語りかけ質問し、気づきを促す、全員参加の体験型講義。
著作は、『成功する人は、教わり方が違う。』(河出書房新社)など、1,030冊を超す。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授