自分と成功している人との違いを遺伝子や才能、センスのせいにしがちだが、理由は他にある。
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ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
「あいつはなぜ自分の給料分すら働かないのか」
このような愚痴がこぼれそうになった経営者や管理職は少なくないはずです。実際、約20年間、人事コンサルタントや営業研修講師として活動してきた私ですら、経営者として同様の悩みを抱えたことがあります。
会社員時代、リクルートのグループ会社で連続営業表彰記録を樹立した私は、会社から与えられた「目標」の達成にコミットすることはアタリマエだと思っていました。報酬をもらっているプロとして目標を達成するのはアタリマエだという意識は、私に限らず、職場のほぼ全員が持っていました。
起業独立後、その環境がアタリマエではなかったということを経営者として思い知ることになりました。恥ずかしながら、途方に暮れたことは1度や2度ではありません。
一方、研修講師としては、累計1万人以上の社員教育の機会に恵まれました。その過程で、目標達成できる人とそうでない人の違いが明確になりました。目標達成の原理原則を体系化した書籍が、拙著『仕事ができる人の最高の時間術』(明日香出版社)です。私の成功、失敗体験を交えながら、どんな人でも目標達成できるようになる方法を1冊にまとめました。
本書では、「目標達成できる人」を「仕事ができる人」と定義しています。会社や顧客の期待に応えられる人が「仕事ができる人」と評価されるべきだと考えました。
もし、あなたの部下が、会社やあなたからの期待に応えられていないとすれば、その理由には次の3つが考えられます。
(1)本気で取り組んでいない
(2)何をどのようにすればいいのか分かっていない
(3)信頼性を高める努力をしていない
この中で最も大きな要因は、実は、部下が「(1)本気で取り組んでいない」ことだというのが私の見解です。
世論調査や人材コンサルティングを手掛ける米国ギャラップ社が、世界各国の企業を対象に実施した「従業員のエンゲージメント(仕事の熱意度)調査2016」によると、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかないそうです。世界平均の13%、米国の32%と比べて圧倒的に低く、調査した139カ国中132位と最下位クラスでした。また、「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は70%に達していました。これは、日本では、自分の「仕事」や「目標」に対して本気で取り組めている社員は非常に少数であることを認識した上で、マネジメントする必要があることを意味します。
会社やあなたから課された目標を、部下が「ノルマ」だと捉えているとすれば、その時点で目標達成確率は非常に低いと言わざるを得ません。このような部下に対する上司の役割は、与えられた仕事や目標に本気で取り組むことが、部下の今後の人生や社会貢献にどうつながるのかという「仕事の意味付け(ジョブ・クラフティング)」をする作業にとことん付き合うことです。
次に多いのが、部下が「(2)何をどのようにすればいいのか分かっていない」ケースです。「一生懸命頑張っているのに結果が出ない」という部下は、ここで袋小路に陥っている可能性が高く、ここでの上司の役割は、具体的に「戦術」を指示することです。
優秀なプレイヤーであった上司ほど、「戦略」だけを部下に指示してしまう傾向があります。例えば、頑張っているのに売れない営業があなたの部下にいたとしましょう。その部下に対して、「もっとクライアントのところに訪問しろ」「クライアントのニーズをもっと聞いてこい」と指示しても、ほとんどの場合、効果がありません。なぜなら、このような戦略だけを指示されても、仕事ができない部下は、クライアントへの訪問頻度を高める方法や真のニーズを聞き出す方法を具体的にイメージすることができないからです。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授