人は、具体的にイメージできないことは、行動に移すことができません。具体的にイメージできるようにするためには、上司が戦術レベルで指示する必要があります。戦略と戦術の違いをこのように整理しておくといいでしょう。
プレイヤーとして優秀だった上司は、自分の中で戦略を即座に戦術に落とし込み、行動に移すことができます。一方、仕事ができない部下は、戦術まで具体的に指示されない限り、実際の行動をイメージすることができません。その結果、最初の一歩すら踏み出せなかったり、間違った方向に歩み出してしまったりするのです。
また、目標達成できる人は、最初に大きく戦略戦術を描く一方で、早く小さく始めて、PDSAサイクルを最速で回していく傾向にあります。戦略戦術を考え抜く時間を確保しつつ、決めたことは早く小さくトライ&エラーを繰り返し、最速で最適解を見つけることが重要なのです。
そして、部下が「(3)信頼性を高める努力をしていない」ことが、根本的な要因だと考えています。「仕事ができる人」「目標達成できる人」というのは、「仕事で求められたことをアウトプットし続けられる人」です。ただ、どれだけ優秀でも、インプットを行わずにアウトプットし続けられる人はいません。むしろ、優秀な人ほど、インプットの時間を多く確保しているものです。これらの時間を積み重ね、習慣化することで、「信頼性」が高まります。
信頼性は、「能力」と「人格」の掛け算です。この両方を日々高めている人から依頼、提案、指示されたことに、人は動かされるものです。仕事は1人ではできません。あらゆるステークホルダーを動かすためには、自ら信頼性を高めるインプットの時間や心技体を磨く時間を確保する必要があります。また、これは、上司であるあなたにもいえることです。あなたが部下から信頼されるだけの能力と人格を磨いていなければ、部下を変えることなどできません。今の部下の姿は、鏡に映ったあなたの姿でもあるのです。
このように、仕事のできる人とそうでない人の違いは「時間の使い方」に集約されるというのが私の結論です。私たちは、自分と成功している人との違いを遺伝子や才能、センスのせいにしがちですが、実際は、野球のイチロー選手、サッカーの本田圭佑選手、体操の内村航平選手といった世界レベルのトップアスリートでも、小学生時代は日本国内ですら無名でした。内村航平選手に至っては、いつもビリだったそうです。つまり、これらは、遺伝子や才能、センスの問題ではないことを証明しています。全ては時間の使い方次第で変えられるのです。
本書では、時間の使い方を変え、習慣化させるためのワークシートも提供しています。本書をベースにした目標達成研修を導入いただいている顧問先企業では、営業部の管理職と若手メンバーを中心に、隔週ペースで3カ月間、時間の使い方を見直すワークショップを行いました。その結果、ほぼ全ての受講者の残業時間が削減され、キャリアハイの営業成績を上げる受講者も続出しました。
働き方改革が叫ばれている昨今、「時短」ばかりがクローズアップされているように思います。単なる残業時間の削減ではなく、「個」と「組織」の時間生産性を高めることで両者がよりハッピーになること、それが本当の働き方改革ではないでしょうか。
プレゼンス 代表取締役社長、時間生産性向上コンサルタント、フランクリン・コヴィー・ジャパン認定コンサルタント、原田メソッド認定パートナー、米国パッションテスト認定ファシリテーター
<経歴>
1974年、兵庫県明石市生まれ。早稲田大学商学部卒業。1998年、パソナ入社。2000年、リクルートマネジメントソリューションズ(旧社名:人事測定研究所)入社。採用・教育・人事制度設計のソリューション・プランナーとして、3半期連続の営業MVP&7半期連続の営業表彰を含む11半期連続全指標達成(いずれも現在も会社記録)を果たす。2004年、モルディブでインド洋スマトラ沖地震による大津波に飲み込まれるも、日本人生還者第1号として無事帰国。この九死に一生の経験を機に起業を固く決意する。2007年、プレゼンス設立。人事・営業・目標達成・生産性向上に関するテーマでの講演・研修実績多数。
営業らしからぬソフトな語り口と関西人ならではのユーモアを交えた講義には定評があり、累計受講者数は1万人を超える。セミナーDVD『インサイド・アウトのアプローチで学ぶ営業心理学 入門編』(フランクリン・コヴィー・ジャパン)発売中。2017年12月に新刊『仕事ができる人の最高の時間術』(明日香出版社)上梓。
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【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上
早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
株式会社CEAFOM 代表取締役社長
株式会社プロシード 代表取締役
明治学院大学 経済学部准教授