無理な努力をしないで、淡々と行動し、成長することはできるのか?
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誰もが「できるビジネスパーソン」になりたいと思っています。もしあなたがすでに「できるビジネスパーソン」であれば、できる部下や同僚が欲しいと思っているかもしれません。
できる人とは、能力を有している人です。その能力は一体何ができるのでしょうか? できること、できないことを曖昧にしている人は決して「できる」ようにはなりませんし、部下をできるようにすることもできません。
では、どうすればできる自分になり、できる部下に成長させられるのでしょう? そのためには2つの曖昧要因を具体的にする必要があります。
何かができるというのは「能力」と考えられます。能力は、思考力、行動力、英語力、健康力など多岐にわたり、よく聞く言葉ですが、何ができるのかは意外と具体的ではありません。この◯◯力を具体的にすることが、できるようになるための第一歩です。
例えば、多くのビジネスパーソンは英語ができるようになりたいと考えています。これは英語能力を習得したいと言い換えられますが、そもそも英語能力とはいったいどのような能力でしょうか? ビジネスにおいて英語で交渉できる能力でしょうか? 日常会話ができる能力? 経済・宗教・恋愛の話ができる能力?
この様に、英語力とひとくくりにしてしまうとあまりにも広範囲です。
では、どうすればよいのでしょう?
マイクロアビリティ(極小能力)という考え方が解決の助けになります。「英語が話せる」のように広範囲ではなくて 「英語で外国人観光客の道案内ができる」のように範囲を絞って考えるのです。道案内に絞ると、必要な英語表現は3フレーズ程度で十分と分かります。筆者は実際に3つのフレーズ(助けが必要ですか? どこに行きたいのですか? そこまで連れて行きます。の英語版)だけで英語で道案内をする能力を習得しました。実際に道案内を始めると、そこではむしろ英語よりも、道に迷っている人を見つける能力、声をかける能力(勇気)の方が重要だと分かりました。
英語で道案内能力を小さく分けてみる
英語で道案内と聞いて、それも難しそうだと考えた人でも、マイクロアビリティに分解することで、そのいくつかはすぐにでもできそうだ! と思えたり、すでにいくつかの能力は習得している! と自信がついたりするのではないでしょうか。
マイクロアビリティ化すると、自分がすでにできること、できないこと、得意なこと、苦手なことがはっきりします。人によっては英語表現よりも、声をかけることが苦手かもしれません。その場合は英語力UPよりもコミュニケーション力UPを目指すべきです。もしかしたら、英語ができないのは、英語力の問題ではなくコミュニケーション能力に問題があるかもしれないと気付くことができるのです。
これは英語に限った話ではありません。例えば営業において契約を獲得する能力は、顧客情報の知識、人に好かれるコミュニケーション能力、論理的交渉力などさまざまな能力が必要となります。喋りが上手でも製品知識に乏しいかもしれません。製品知識が豊富でもコミュニケーション能力の欠如から契約がとれないかもしれません。
契約獲得能力のように大きな範囲だけで考えると、そのために何をやっていのかが分かりにくいのです。
さらに、大きな能力を分解して習得すると、他の人の能力を客観的に見ることができるようになります。また、習得のための行動が明確になっているので、それを伝えられます。つまり、自分ができるようになったことを、部下にもできるようにしてあげることが可能になるのです。
「できる人になる」もう一つの考え方にMP(Mental Power)があります。
何かができるようになるまで行動が続かない要因の一つに、「MP不足」があります。MPは精神力というよりも心の体力を表しています。実は心にもエネルギーがあって、それは、考えたり、決断したり、迷ったり、悩んだり、さまざまな精神活動によって消費されます。
例えば、多くの人は健康のためにランニングを始めようと思い付いて行動するのが土曜日か日曜日です。なぜならば元気いっぱい(MPがフルにある状態)だからです。MPフル状態ではやる気がみなぎっているので、慣れないランニングを始めようとしますし、実際に走ることができるでしょう。そして、毎日仕事帰りにランニングすれば健康になるはずと考えます。では月曜日の仕事が終わってからランニングができるでしょうか? 1日ならば頑張ってできるかもしれません。しかし、翌日はどうでしょう? 一週間後は? 多くの人が挫折してしまいます。
それは、会社で一日仕事をした後はMPが残っていないので、慣れていないランニングをやろう! という「気力」が起きないからです。心が疲れた状態で頑張ろう! を無理に気合いを入れて毎日ランニングが続けられるでしょうか?
MPを知らないことで起こる弊害は主に2つです。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授