2つの曖昧を具体的にして、できる人になるビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)

» 2018年10月04日 08時03分 公開
[柳沢大高ITmedia]
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 1つ目は、単にMPが少ないだけで行動できなかったのに、自分の能力不足や努力不足を責めてしまうことです。バッテリーがないスマホが動かなくても、スマホのせいにする人はいないでしょう。同じようにMPが足りない時に行動できなくても仕方ありません。

 2つ目は、MPが減少しているときに無理やり行動しようとすると、その行動自体を嫌いになってしまう可能性があることです。楽しかった仕事が残業の連続で嫌いになってしまうかもしれません。一度苦手意識が芽生えるとそれを回復させるのは容易ではなく、一時的に無理をしないほうが長期的には得になることも考えられます。

 どうやってMPを回復すればいいのでしょうか?

 消費したMPを回復する最も有効な方法は睡眠です。長時間ではなく10分程度寝ただけでもMPは回復します。しかし、仕事が終わってから睡眠をとると夜寝れなくなる可能性があるので、夜のMP回復としては現実的ではありません。その時は、アメリカの経済界やハリウッドのセレブには、もはや常識となっている瞑想がお勧めです。本格的な瞑想状態に入らなくても5〜10分瞑想するだけでMPは回復し、思考力、忍耐力が戻ることでしょう。また、愛する恋人や家族、とても仲の良い友達とコミュニケーションをとるのも有効です。心に幸せを感じることでもMPは回復します。(自著では他にもMPの回復法を紹介しています)

 MPが少ないことを理解せずに無理やり「頑張る」ことは危険です。やる気が起きないときは一度立ち止まって、自分のMPは今何%くらい残っているだろうか? と考えてみてください。そして、どうやってMPを回復しようか? 今あるMP量で行動できることは何だろうか? と考えてみてください。MPをしっかりと準備すれば、頑張ることなく(もしくは、少しの頑張りで)行動し継続できるということを理解してほしいのです。昔から努力は美徳と捉えられてきました。しかし能力開発において無理な努力や頑張りは、単なる思考の放棄です。考えることができないから、取りあえず無理に行動してしまうのです。

Abilt習得工学とは?

 筆者は長年、人が機械的に成長するにはどうすればいいか? を研究してきました。昨今注目されているAIは機械を人間のように成長させることを目的としています。しかし、習得工学は人間を機械的に成長させる、いわば逆AIについての研究です。機械的な成長とは、人間から感情を奪うということではありません。機械は動作するときに努力しません。指示どおりの動きを淡々と実行します。習得工学が目指すのは、無理な努力をしないで、淡々と行動し、結果として成長することを目指しています。

 例えば勉強においては、必死に頑張って記憶することが多いでしょう。しかし、習得工学では、一定の間隔をあけて質問に答えることを繰り返すだけで記憶することができます。そこに「頑張り」は必要ありません。他にも、思考力、運動能力、コミュニケーション能力を高めることや、性格を良くする、楽しく行動する、芸術力など、一見生まれつきのセンス次第では? と思われる能力も、正しいやり方(心理学、行動科学、脳科学、システム工学etc……)と一定の外部サポート(ITツールやAbiltシステム)があれば頑張らないで実現することができると筆者自ら実証しています。

 「できるようになる! 〜心に優しい能力UP〜」はAbilt習得工学の入門書として書きました。多くの方が、「能力UPには頑張らないといけない」という呪縛から解き放たれて、心に優しく成長できることを願っています。

著者プロフィール:柳沢大高(やなぎさわ ひろたか)

  • Ability Consultant(能力開発・習得・習慣化スペシャリスト)
  • 習得工学研究者
  • Abiltシステム開発者

米国大学院修士コンピューターサイエンス

Sun Microsystems K.K.社他外資系IT企業エンジニアを経て独立。

オブジェクト指向やソフトウェア工学などのコンピュータサイエンスと、心理学や行動科学などの社会科学を能力習得に特化し融合した習得工学の研究者。

習得工学を実践し能力開発・習得・習慣化できるクラウドWebシステム Abilt の開発者。

◯◯力についての評論や能力開発書の書評をAbilt能力開発ブログにおいて不定期で行っています。


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