50歳は「人生の正午」。新たな自分と出会う可能性を誰もが持っているビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

早いうちから用意周到に第二の人生を考えていなくても、50歳という人生の正午に、あるいはそれ以降に、大きくライフシフトすることができる。

» 2018年12月20日 07時03分 公開
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『実践! 50歳からのライフシフト術―葛藤・挫折・不安を乗り越えた22人』

 「人生の正午」という言葉、見聞きしたことがあるのではないでしょうか。心理学者であるユングが残した有名な言葉です。

 ユングは、人の人生を、日の出から日の入りまでの時間に例えました。また、その時間を、少年、成人前期、中年、老人という4つのステージに分け、ステージとステージの間には、転換期という「危機」があると指摘しました。少年から成人になるには、あるいは、中年から老人になるには、それまでのものの考え方や行動を大きく変える必要がある、しかし、人は簡単にはそのように変化することはできない、と指摘したのです。そして、人生の午前と午後の境目である中年への転換期、つまり「人生の正午」こそが、人生最大の危機であると考えたのです。

 ユングは、その年齢を40歳前後と定めていましたが、現代にユングが生きていたとしたら、彼は、人生の正午を50歳と定めたことでしょう。人生100年時代を迎えた今、人生の折り返し地点は50歳です。

 しかし、人生最大の危機である正午は50歳前後で訪れているけれど、それを自覚しながらも、今までと同じようなものの考え方や仕事の仕方を続け、定年間近になって急に不安に駆られて、大慌てをしている人が多いというのが、今の日本の実情でしょう。最近の「定年本ブーム」は、そんな状況を映しているように見えます。みんなが、60歳以降をどう生きたらいいのか、迷いに迷っています。長く生きること、長く働くことに、困り果てています。

自分の人生の「主人公」になる

 では、この本に登場している22人のライフシフターはどうなのか、早いうちから用意周到に第二の人生を考えていたのか、大きな転身に向けての準備をしていたのか、というと、決してそうではありません。ライフシフトしている、といっても、以前と同じ会社にいる人も、同じ仕事をしている人もいます。ライフシフトという言葉から、働く場所や働き方の転換を想起する人たちには、一部はライフシフターに見えないかもしれません。しかし、22人の誰もが、50歳という人生の正午に、あるいはそれ以降に、大きな変化を遂げています。

 全員が、自分の人生の「主人公」になっているのです。自身が生きていくうえで大切にすべき価値軸に気付き、オーナーシップをもってワクワクしながら生きています。そう、ライフシフトとは、生き方の抜本的な変化です。転職、起業のような外形的な変化のことではないのです。

 しかし、全員が50歳まではワクワクしながら生きてはいませんでした。誰もが、日本の会社で、会社の意を受けて、会社のために働いてきた典型的な会社員でした。

 人は誰しも、自分の人生の主人公であるはずです。自分の意志や展望を持ち、生きていくという権利を持っています。どのような学校に進み、何を学び、どんな仕事をするかを決めるのは自分自身です。もちろん全てが希望通りになるわけではありません。第一志望の大学に進めなかったり、行きたかった会社に入れなかったり、というようなことは誰しもが経験することです。しかし、このよう状況になったとしても、そのうえで、どのような道に進むかは、自分で決めることができます。

 しかし、日本型雇用システムの会社に入ると、その様相は変わります。次に何をするかは、自分ではなく会社が決めることになるのです。一人一人の可能性を最大限に引き出し、能力開発を促すために、さまざまな経験機会を提供する、というような人事方針のもとに、キャリアの選択権を会社が握るのです。

 仕事ができる人なら希望が通るかといえば、そうでもありません。仕事ができる人は、その部門からなかなか外に出ることができません。優秀であるがゆえに囲い込まれてしまいます。

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