考えるスキルがある人にとっては活躍の場が広がるのが今の時代。大事なのは、人工知能を「使う」こと。
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ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
小学校でプログラミング教育が必修化されるというニュース、を知っているでしょうか。それも、来月にも始まる新学期からです(2020年4月)。「そんな、急に言われても……」、と戸惑う人にこそ読んでほしいのが私の新刊、「プログラミングとロジカルシンキングが一気に分かる本」です。というのも、実は筆者は子供のプログラミング教育で手痛い「失敗」をしているから、この経験が、本書を執筆する大きな動機になりました。
当時、筆者の息子は小学校4年生。「今のうちからプログラミングを学ばせよう」と某ITスクールの全6回の講座に申し込みました。ところが、これが期待外れ。テーマは、iPhone上で動くアプリを作ろうというもの。これ自体は悪くなかったと思います。ただ、「先生の言ったとお通りに作業するだけ」というスタイルに問題がありました。教室の前のスクリーンに投影されているコードを、そのまんま入力するのです。しかも、幸か不幸か先生の数は手厚く、アシスタントも含めると子ども4〜5人に1人ぐらいの割合ですから、ちょっとうまく進まないと、「どしたの〜?」とサポートしてくれます。アプリはちゃんと完成しましたし、子どもは「やったー!」と喜びます。しかし、「何を学べたの?」という観点では期待外れでした。
事前の期待としては、プログラミングの仕組みを理解させてほしかったんです。あるいは、それを踏まえてプログラミングをいかに「使うか」ということに触れてほしかった。でも、その観点での収穫はゼロ。「慌てて目の前のものに飛びついてもダメだよな〜」と残念な気持ちになりました。
ここまで「残念」と感じてしまうのは、筆者が「教育」を仕事にしているからです。分野は大人向けのビジネス教育。自称で「MBAの三冠王」とうたっているのは、自身がMBAで学んだだけではなく、グロービス経営大学院の前身プログラムでMBAを創り、そして、現在は米マサチューセッツ大学でMBAを教えていることによります。ですから子供の教育に関しても、「この子が大人になったときに役立つスキルは何だろう?」といつも考えています。
そんな筆者は、子どものプログラミング教育が必須化されることには大賛成です。しかしその中身は、「先生に言われた通りアプリを作る」ではないはずです。むしろ大事なのは、目の前の問題をプログラミングを使ってどのように解決するかであり、その過程で物事を筋道立てて考える力を養うことです。なので冒頭に紹介した経験は残念でなりません。
翻って、ビジネスパーソン。人工知能(AI)が本格稼働する中、いかにしてプログラミングと協業するかは、今後のキャリアの明暗を分けるポイントです。決まり切った仕事をやるだけで、考えるスキルがない人は遅かれ早かれ人工知能に取って代わられます。実際、日本を代表するような大手企業の、「○歳以上を対象としたリストラ」などのニュースはこの予兆です。
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早稲田大学商学学術院教授
早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授
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明治学院大学 経済学部准教授