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» 2020年07月21日 07時06分 公開

「スモール・ハピネス」で仕事も生活もポジティブになる?!:第4回:仲間づくりの一人旅モード (1/2)

問題解決の方法を自分で決め、解決の結果にも責任を持つ。人の助けが必要になれば、旅先で道を尋ねるように、自分のイニシアチブで見ず知らずの人にでもアプローチする。

[キャメル・ヤマモト,ITmedia]

 本コラムでは、日々、スモール・ハピネスを味わうことを追及している。その際、(1)それまで関係のなかった何かと何かを「つなぐ」、(2)つながったことで「やった!」というポジティブな感覚が生まれる、(3)そういう感覚を「スモール・ハピネス」と認定する、という3ステップを用いる。(図1)

図1:スモール・ハピネス・メソッド

 今回は、スモール・ハピネスを生み出しやすくする「働き方」について話したい。

一言でいえば、スモール・ハピネスを味わいながら「一人旅」をするような働き方である。

 一人旅と対比されるのは「団体旅行」であるが、従来の働き方、特に、企業や役所などの組織での働き方は、「団体旅行客」のような働き方ではなかったか。

 毎朝起きて決まった時間に、通勤定期を使って、見知らぬ大勢の人々と身体を接触させ合う満員電車に、オフィスの入ったビルの最寄り駅まで乗り、そこからまた見知らぬ人々と整然と無言の行進をしてオフィスまで歩く。

 列に並び沈黙のまま密閉されたエレベーターに乗り込み、知った顔があれば無言の会釈を交わし、身体接触をぎりぎり避けて、所定の階まで上がる。すでに人々は通勤によって団体行動モードで動く催眠にかかった状態で、班や課や部などの組織や団体に分かれたオフィスに入り、顔なじみ同士の団体旅行客となって7時間以上を過ごす。

 仕事を始める時間、ランチなどの休憩時間、終了時間も組織、団体が大体定めていてそれに従う。仕事で何をすべきかも、自分で考えて決めるのではなくて、添乗員に相当する上司や事情通の先輩が(しっかりしていれば彼らが)決めて、自分はもっぱらその処理に徹する。メニューもレシピ―も材料も作る手順も、全て指示されて自分は指示された通りに料理する。料理しそこないそうになると親切なまわりの人たちが手を差し伸べてくれる。

 このような通勤とオフィスワークの団体旅行を翌日も繰り返す。土日を挟んで翌週もその次の週も……。

 これに対して一人旅では、上司・先輩などの添乗員に頼ることなく自律して働く。時間割も、組織で決められた会議などの時間以外は、自律的に設定する。自分が取り組む仕事(問題)も自分で設定し、しかもその問題に取り組む理由も自分で考え、問題解決の方法も自分で決め、解決の結果にも責任を持つ。人の助けが必要になれば、旅先で道を尋ねるように、自分のイニシアチブで見ず知らずの人にでもアプローチする。

 さて、団体旅行的働き方を、一人旅の働き方に切り替えると、スモール・ハピネスの機会を増やせる。なぜか? 原理はシンプルだ。例えば第1回でとりあげたジグソ―パズルについて、団体旅行客であれば、添乗員(上司・先輩)がいちいちこのピースとあのピースをつなげてと指示するので、それに従って手を動かす。そのようにして仮にパズルが完成しても「やった!」という感覚はうまれにくく、スモール・ハピネスも成立しにくい(もっとも上司は自分の指示通りで完成したのだからスモール・ハピネスを味わっているかもしれない)。

 他方、自分が一人旅モードで、上司の指示など全く受けずに、主体的に取り組んでパズルを完成させれば、「できた!」というポジティブな感覚が生じてスモール・ハピネスを味わうことができるだろう。

 ただし、団体旅行から一人旅への切り替えにあたっては一つ重要な留意点がある。それは、リターンにはリスクが伴うという定石だ。仮に上司が答を知っているジグソ―パズルだが本人は初めて取り組むパズルで、それがかなり難しいとしたら、一人旅モードで取り組むと歯がたたずにパズルを完成できなくて敗北感を味わうかもしれない。主体的行動によって得られるハピネスというリターンには、不幸にみまわれるリスクが伴うということだ。

 そこで、リスクをコントロールすべく、一人旅モードで主体的に取り組む範囲や難易度を徐々に増大させていく慎重さが求められる。

 他方で大胆さも必要だ。組織は基本的に保守的で、習慣にしがみつく傾向がある。変化の激しい新時代、保守的な組織の団体旅行客でいると時代遅れになるリスクが高い。そうであれば、一人旅モードに切り替えることに伴う多少のリスクは甘受しつつ、リターンのハピネスを狙うのは純粋に得策だろう。

 とりわけ、団体旅行という集団催眠を解く魔法の薬として、「テレワーク(リモート・ワーク)」が急に普及した今は、その薬の力を借りて、一人旅で試運転するチャンスだ。試運転の範囲を徐々に広げる形なら、一人旅のリスクもコントロールしやすいだろう。上司の立場にある人にとっては、リスクとリターンを判断しつつ、かわいい部下に一人旅をさせる絶好の機会でもある。

 以下、第2回で紹介したWHY・WHAT・HOWを用いて、あなた(あるいはあなたの部下、以下同)が一人旅モードの段階をステップ・バイ・ステップであげていく道筋を述べよう。

 まず、HOWの領域であなたは一人旅を始める。実際、テレワークでも多くの場合は、何をアウトプットとしてだすべきか(WHAT)は、上司などからの指示で決まるだろう。なぜそのアウトプットが必要か(WHY)は明示されていないかもしれないが、明示されるとすれば上司によってだろう。

 しかし、どのようにそのアウトプットを生み出すか、つまりHOWについては、リアルのオフィスにいるときよりも、あなたに任される度合いが高まるだろう。そういう中で自分の努力と工夫で何かアウトプットを出せればスモール・ハピネスをゲットできることは間違いない。(図2)

図2:パフォーマンス・スモール・ハピネス用「能力開発モデル」

 さらに、アウトプットを生み出すに至らなくとも、スモール・ハピネスの機会は意外にある。例えば、テレワークでは途中で休憩、昼食、コーヒー雑談タイムなどをとることも全て自分のイニシアチブと自律性の発揮にかかっている(団体旅行の同調圧力に応じて協調性を発揮していればよいゲームとは異なる)。

 自律性を発揮しないとオーバーワークや過少ワークなどのリスクの餌食となる。実はそのようなリスクを避ける必要性に迫られるからこそ、イニシアチブと自律性を磨くことができる。自律性は、ジグソ―パズルの例でリマインドしたように、スモール・ハピネスを生み出しやすくする前提条件なので「自律のアート」に少し立ち入ってみよう。

 例えばキャメルの例だと、机に向かって仕事で何かを書いていると15分もしないうちに行き詰まることがある。そんな時、(一人旅だからまわりを気にせず)「おい、どうしたい?」と自分で自分にたずねる。気が付くと情報もスマホももたずに(でも紙キレとペンは持って)外に出て散歩を始めている。

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