第三世代の「スマートシティ3.0」は、分野横断のデータ利活用による都市機能の最適化を志向している。
2019年8月、内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省は「スマートシティ官民連携プラットフォーム」を設立。本年4月、国土交通省は「先行モデルプロジェクト」15事業の実行計画を公表、総務省は「データ利活用型スマートシティ推進事業」を公募するなど、スマートシティを巡る動きが活性化している。
スマートシティが脚光を浴びるのは初めてではない。2000年代末、再生可能エネルギーとエネルギー管理技術の発達に伴い地球環境との共生を志向した第一世代。2010年代半ば、ビッグデータ解析によるエネルギー分野以外の社会課題解決を志向した第二世代。今回は、いわば「スマートシティ3.0」。分野横断のデータ利活用による都市機能の最適化を志向している。
都市機能の最適化は、課題先進国日本の喫緊課題だ。日本の生産年齢人口は1995年をピークに減少が続き、2030年に2017年比で9.5%減、2055年には33.8%減が予想される。
生活保障はもちろん、老朽化する生活インフラの維持すら容易でない。「スマートシティ3.0」は、生産年齢人口3割減社会における持続可能な都市の再創造に他ならない。
都市機能の最適化は、特定分野に対する特定ソリューションの導入だけで実現できるものではない。例えば、eモビリティの導入自体は容易でも、高度な交通管理システムとスマートグリッド(需要と共有双方から電力の流れを制御する次世代送電網)接続なくして、最適化には程遠い。基盤となるデータ分析プラットフォームやセンサーネットワークも不可欠だ。さまざまな活動を有機的に連携させ、同時並行で進行させる包括性が求められる。
ローランド・ベルガーは、スマートシティ戦略を6つの適用分野と6つの促進基盤からなる12指標(Smart City Strategy Index (SCSI))に分類、2017年、世界87都市のスマートシティ戦略の包括度を評価した。1位はウィーン。シカゴとシンガポールがこれに続いた。次いで2019年、世界153都市を対象とした第2弾を公表。1位はウィーン。ロンドンとセントアルバート(カナダ)がこれに続いた。(図A1参照)
ウィーンは、2015年に策定したスマートシティ戦略を、2018年にデジタル視点で更新。ステークホルダーとの関係はじめ、実効性や計画性の評価も極めて高い。ロンドンとセントアルバートは、ITや分野横断のイノベーションが高く評価された。153都市の内、60点以上を獲得した包括度の高い都市は15都市。調査対象の10%(前回調査では7%)に過ぎず、平均スコアは41点(同37点)にとどまった。
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