事業統合や新型コロナウイルス禍による環境の変化を機会の一つと捉え、事業を大きく変革しようとしているリクルート。その一環としてセキュリティガバナンスの強化にもチャレンジしている。
アイティメディアが主催するライブ配信セミナー「ITmedia Security Week 2021 夏」のDay1基調講演には、リクルートのセキュリティ統括室長である鴨志田昭輝氏が登場。セキュリティのプロフェッショナルとして生きていくという信念に基づき推進している、「リクルートにおけるセキュリティガバナンスの新たなチャレンジ」をテーマに講演した。
セキュリティベンダーで約11年間、コンサルタントとして働いており、そのときに、常に「プロフェッショナルとして正しいことをする」を心掛けて、お客さまにコンサルティングを行っていた。しかしベンダーでは、プロフェッショナルとしての行動が、必ずしも会社の利益に一致しないという大きな壁にぶつかり、プロフェッショナルとして活躍するためには、ユーザー企業だと考えるようになり、リクルートテクノロジーズ(当時)に転職した。
リクルートテクノロジーズでは、1人CSIRTからスタートし、約1年かけて優秀な人材を集め、高度な技術を持つグループCSIRTを構築し、社内でも認知されるチームに成長させることができた。高度な技術を持ったメンバーが、高い専門性で会社に貢献し、現場や経営から認められる世界ができれば、みんなが幸せになるという信念でCSIRTを運営していた。そのためには、「ガバナンス(強制)をしない」ことを大切にしていた。CSIRTがガバナンスにより、セキュリティ施策を現場に押し付けることで、現場の反感を買い、お互いに疲弊するケースを見てきたからだ。
しかし2021年4月のリクルートの事業統合で、全社のセキュリティガバナンス担当になったことから、これをポジティブに捉え、みんながハッピーになれるセキュリティガバナンスに取り組もうと考えた。
セキュリティガバナンスの大前提として、「社内外の変化」と呼んでいる現状の整理から行った。内的変化としては、事業統合により、組織の垣根を越えたガバナンスの強化が必要だった。特に、持続的に事業を推進するためには、個人情報保護やサイバーセキュリティを含むリスクマネジメントが重要だった。
一方、外的変化としては、コロナ禍により、これまでの世界観が一変し、リモートワークを中心とした働き方改革が必要だった。リクルートには、コロナ禍以前より、リモートワークの制度が確立されており、VDI環境も構築されていたことから、驚くほどスムーズに在宅勤務への移行を実現できた。
また、コロナ禍によるニューノーマルの世界が登場し、カスタマー(一般消費者)も、クライアント(広告掲載企業)も行動が大きく変化した。この変化は、カスタマーやクライアントの困りごとを解決するための、新しいサービスを開発する大きなチャンスと捉えた。
例えば、クライアントの広告をまとめた情報を、カスタマーに無償、有償で配布するリボンモデルと呼ばれる従来のビジネスモデルに、ネットを活用したサービスを付加することでマッチングビジネスを強化。決済サービスのAirペイや美容室予約のサロンボードなど、クライアントのバックエンド向けの仕組みも登場している。
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明治学院大学 経済学部准教授