価値観の多様化と生産人口が減少していく中で、競争力を維持・高めるには、多様な人材を活用してくことが必要だ。そのためには、組織・働き方改革が不可欠である。
少子化やビジネスサイクルの短期化により、旧来型の終身雇用経営は難しくなっている。価値観の多様化と生産人口が減少していく中で、競争力を維持・高めるためには、外国人・女性・シニア・非正規・副業・フリーランスなど多様な人材を活用してくことが必要だ。
そのためには、組織・働き方改革が不可欠である。例えば、時間や場所の柔軟性を高め、多様な人材を招き入れる。柔軟な働き方を許容するために、ジョブ型などの新制度を導入する。即戦力のあるスペシャリスト人材の採用や育成も必須だ。多様な人材が活躍できる枠組みの整備や労務管理など、見直しが必要な領域は多岐にわたる。(図A参照)
コロナ禍は、組織・働き方における改革を進める契機となっている。一気に進んだリモートワークで、個人の貢献度は見える化され、付加価値の低い社員やいわゆる窓際社員は浮き彫りにされるようになった。
実際、従来の年功序列・終身雇用にもとづく日本型経営は限界が訪れている。電通は一部の正社員の個人事業主化を推進、Panasonicは割増退職金の上限を4000万円に設置し早期退職を促すなど、大企業も組織のスリム化に向けて思い切った取組みを開始している。
企業がこれら課題に対処しつつ持続的な成長を果たすためには、HRテックを組織改革にいかに効果的に導入していくかがカギとなる。
HRテックとは、企業や組織・従業員のデータを集積し、採用やタレントマネジメント、労務管理、従業員エンゲージメント向上などのソリューションを提供するテクノロジーを指す。各社が自前で開発するケースもあるが、昨今はAI等などに強みをもつクラウド型のSaaSベンチャーが勃興している。
組織改革では、まず会社のあるべき姿を見据え、それを実現する組織の在り方を定義する。そして、理想の組織の在り方と現状とのギャップを認識し、ギャップを埋めるための施策を講じていく。ここにHRテックを活用することで、その効果と改革のスピードを最大化することができる。
[組織改革におけるHRテックの活用の方向性]
(1)タレントマネジメント・評価:社員の能力や成果が一元データベース化されたシステムを指し、理想的な組織の枠組み、異動方針やチーム構成などを最適化できる。また、リモートやジョブ型で複雑化した人材評価においても成果や能力をデータ化し、効率的で納得感がある評価体制を構築できる。
(2)採用管理・育成: あるべき組織や業務を定義しつつ、採用管理システムの活用で社内に必要な人材の採用要件を取りまとめ、募集広告などとタイムリーに連動する。副業などの導入で複雑化する採用プロセスも最適化される。育成ではハイパフォーマーの特性をAIで分析した教育プログラムも構築し得る。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授