浦島太郎はノンフィクション?――未知や非常識に1歩踏み出すと新しい世界が広がるITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(1/2 ページ)

探検も、人生も、最終的に目指すのは「いかにおもしろくするか」である。それでは「おもしろいとは何か」を考えるとその定義は難しい。探検家にとっての最高におもしろい人生とは。

» 2021年09月28日 07時06分 公開
[山下竜大ITmedia]

 ライブ配信で開催されているITmedia エグゼクティブ勉強会に、探検家の高橋大輔氏が登場。「探検家が教える、最高におもしろい人生の引き寄せ方」をテーマに、これまでに探検してきた経験に基づいて、「最高におもしろい」とは何か、日々の仕事や人生を、いかにおもしろくすることができるかを学ぶ。

13年間のサラリーマン生活を経験して探検家に

『最高におもしろい人生の引き寄せ方』

 1966年、秋田市生まれの54歳。大学卒業後13年間、広告代理店で働いていました。2003年にフリーになり、以後、探検家として活動しています。今年で18年目になりますが、この数年は新型コロナウイルス禍で活動が停止しています。よく「探検家で、どうやって食っていくの?」と聞かれますが、本を書いたり、講演をしたり、何らかの形で社会還元をしています。書籍は、これまでに10冊書いています。

 探検家としてエポックメイキングだった出来事は、2005年にナショナルジオグラフィックの探検隊を率いて、ロビンソン・クルーソーのモデルとなった人物の住居跡を13年かけて発見したことです。当時は無人島ではなく、700人程度の人が住んでいたので、住人に話を聞きながら住居跡を探しました。このときに感じたこと、得たもの、ある意味人生観のようなものをまとめて『ロビンソン・クルーソーを探して(新潮文庫)』を書きました。

 最近では、2021年2月に『最高におもしろい人生の引き寄せ方(アスコム)』を出版しています。この本では、どのような経緯で探検家になったのかを書きつづっています。また出版社が帯に書いてくれているように、「メンタルを変えて人生を探検しよう」ということをテーマとしています。最高におもしろいとか、人生を探検しようとか、さまざまな言葉が躍っていますが、最終的には自分のメンタルを変えることが最大の目的です。

探検家 高橋大輔氏(c)中田寛也

「おもしろい」を突き詰めることが探検家になった理由

 そもそも「おもしろい」という言葉をどのようにイメージするでしょうか。日常の中でもよく耳にする言葉ですが、それ故につきつめて考えると定義の難しい言葉です。同じものを見ても、おもしろいと感じる人もいれば、おもしろくないと感じる人もいます。主観的なもので、客観的には説明しづらいものです。この「おもしろい」ということを突き詰めていくことが、探検家になった理由の一つです。

 「おもしろい」を辞書で調べてみると、漢字で「面白い」と書く通り「目の前が明るくなること」とあります。楽しいとか、愉快とか、自分の心が揺れ動く、明るくなるといった気分がおもしろいということです。それでは、「最高に」とまでいうおもしろいとは、どんなものなのでしょう。いままで漠然と考えていたおもしろいものに対し、メンタルを変えることで、もう少しロジカルにイメージできるのではないかと考えています。

 そこで、3層のイメージで考えてみます。まず真ん中に1層目の核になる部分があります。その外側に2層目があり、さらにその外に3層目があります。1層目は自分が知っている世界です。

 例えば、もしも新入社員の部下が「会社を3週間休んで南極に行きたいのですが」と言ってきたら、あなたならどうしますか?

(A)新入社員の分際で! 即却下。

(B)一緒に悩むが説得して思いとどまらせる。

(C)即OK!

 (A)と(B)は、ある程度想定内で、(C)は想定外です。

 私自身の経験は、想定内でも想定外でもなく「規格外」でした。直属の上司には、上司がいて、その上司にはさらに上司がいるのですが、直属の上司がいきなり役員会で社長に直談判し「行ってこい」と言ってもらいました。

 理由は、南極に行った社員がいれば、会社のイメージやブランド力が向上できると経営判断をしたからです。広告代理店という業種の特性もあったのでしょうが、まさに規格外でした。この珍事こそが、「おもしろいって何だろう」と考えるきっかけでした。

 次に、もし自分の副業がヒットしたら、上司からどのようにリアクションされたいですか?

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆