ネガティブなイメージの“終活”を「早く始めたくなる!」方法――PRECIOUS DAYS 代表 下村志保美氏ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(2/2 ページ)

» 2021年12月07日 07時00分 公開
[山下竜大ITmedia]
前のページへ 1|2       

 金融機関リストを作っておくことも重要。どんな保険に入っているのか、どこの銀行に口座を持っているのか、どんな引き落としがあるのか、緊急の連絡先、かかりつけの病院などをリスト化しておく。これにより、もし自分に何かあっても、家族は保険請求ができる。また、両親にもリストを作ってもらうことが重要である。このとき、自分たちのリストを親にも渡しておく。

 その理由を下村氏は、「両親だけにリストの作成を頼むと感じが悪いからです。“災害時などにお互いに何かあったときに困るから”と言えば角が立たずにリストを作ってもらえます。これにより共有する安心が得られます。こうしたリストを作ることで、不要な口座や保険なども見えてきます」と話しいている。

PCやスマホの中身を家族に見せられますか?

 「もし今日死んでしまったら、PCやスマホの中身を家族に見せられますか。PCやスマートフォンのロックを、家族が解除できますか。現在、これが大きな問題になっています。特にスマートフォンは、パスコードを間違え続けるとロックされたり、データが消去されたりします。そこで重要になるのが“デジタル終活”です」(下村氏)。

 PCやスマートフォンには、重要な情報がたくさん入っている。連絡先や写真、各種アカウント、サブスクリプション、ネット証券や銀行などがある。例えば、連絡先や写真は、葬儀にすぐに必要になる。連絡先がスマートフォンの中だけだと、交友関係の把握が困難。遺影に使う写真もスマートフォンの中にあることが多い。葬儀が済んだら、SNSやサブスクの解約が必要。しかし、何を契約していたかは家族には分からない。

 スマートフォンのデータ復旧の成功報酬は20〜50万円で、期間も半年〜1年かかり、それもでも必ず取り出せるとは限らない。つまりロックのかかったスマートフォンからデータを取り出すことは、ほぼ無理だと考えたほうがいい。

 デジタル終活では、(1)金融機関、サブスクリプションリストを作る、(2)使っていないアカウントは削除する、(3)スマートフォン、PCのスペアキーを用意する(紙に書いておく)ことが必要。

 「終活は、これからを自分らしく生きるための取り組みです。そのためには、不安、不便、不満の3つの不を取り除きます。家族のために、リストを作って見える化することも必要です。そして、いつやるかを決めます。時間ができたらやろうでは絶対にできません。40代後半〜50代は、自分自身の終活の始めどきです。親世代の終活の真っただ中でもあります。終活には、気力、体力、経済力が必要です。終活で人生をより良いものにしていきましょう」(下村氏)。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia エグゼクティブのご案内

「ITmedia エグゼクティブは、上場企業および上場相当企業の課長職以上を対象とした無料の会員制サービスを中心に、経営者やリーダー層向けにさまざまな情報を発信しています。
入会いただくとメールマガジンの購読、経営に役立つ旬なテーマで開催しているセミナー、勉強会にも参加いただけます。
ぜひこの機会にお申し込みください。
入会希望の方は必要事項を記入の上申請ください。審査の上登録させていただきます。
【入会条件】上場企業および上場相当企業の課長職以上

アドバイザリーボード

根来龍之

早稲田大学商学学術院教授

根来龍之

小尾敏夫

早稲田大学大学院国際情報通信研究科教授

小尾敏夫

郡山史郎

株式会社CEAFOM 代表取締役社長

郡山史郎

西野弘

株式会社プロシード 代表取締役

西野弘

森田正隆

明治学院大学 経済学部准教授

森田正隆