金融機関リストを作っておくことも重要。どんな保険に入っているのか、どこの銀行に口座を持っているのか、どんな引き落としがあるのか、緊急の連絡先、かかりつけの病院などをリスト化しておく。これにより、もし自分に何かあっても、家族は保険請求ができる。また、両親にもリストを作ってもらうことが重要である。このとき、自分たちのリストを親にも渡しておく。
その理由を下村氏は、「両親だけにリストの作成を頼むと感じが悪いからです。“災害時などにお互いに何かあったときに困るから”と言えば角が立たずにリストを作ってもらえます。これにより共有する安心が得られます。こうしたリストを作ることで、不要な口座や保険なども見えてきます」と話しいている。
「もし今日死んでしまったら、PCやスマホの中身を家族に見せられますか。PCやスマートフォンのロックを、家族が解除できますか。現在、これが大きな問題になっています。特にスマートフォンは、パスコードを間違え続けるとロックされたり、データが消去されたりします。そこで重要になるのが“デジタル終活”です」(下村氏)。
PCやスマートフォンには、重要な情報がたくさん入っている。連絡先や写真、各種アカウント、サブスクリプション、ネット証券や銀行などがある。例えば、連絡先や写真は、葬儀にすぐに必要になる。連絡先がスマートフォンの中だけだと、交友関係の把握が困難。遺影に使う写真もスマートフォンの中にあることが多い。葬儀が済んだら、SNSやサブスクの解約が必要。しかし、何を契約していたかは家族には分からない。
スマートフォンのデータ復旧の成功報酬は20〜50万円で、期間も半年〜1年かかり、それもでも必ず取り出せるとは限らない。つまりロックのかかったスマートフォンからデータを取り出すことは、ほぼ無理だと考えたほうがいい。
デジタル終活では、(1)金融機関、サブスクリプションリストを作る、(2)使っていないアカウントは削除する、(3)スマートフォン、PCのスペアキーを用意する(紙に書いておく)ことが必要。
「終活は、これからを自分らしく生きるための取り組みです。そのためには、不安、不便、不満の3つの不を取り除きます。家族のために、リストを作って見える化することも必要です。そして、いつやるかを決めます。時間ができたらやろうでは絶対にできません。40代後半〜50代は、自分自身の終活の始めどきです。親世代の終活の真っただ中でもあります。終活には、気力、体力、経済力が必要です。終活で人生をより良いものにしていきましょう」(下村氏)。
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早稲田大学商学学術院教授
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明治学院大学 経済学部准教授