心理的安全性が重要とは聞くけれど……具体的にどうすればいい? 意見を安心して言える環境を作るための話の聞き方を心理カウンセラーが伝授。
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組織論の中で、「心理的安全性」という言葉をよく耳にします。もともとは1999年にエドモンドソン教授により提唱された言葉ですが、Google社の実証実験やコロナ禍での労働環境の変化によって、近年注目を浴びるようになりました。
心理的安全性を一言で言えば、「意見を気兼ねなく安心して言える環境」のこと。ある人の前では何でも話せるのに、ある人の前では口をつぐんでしまう。こんな経験は誰しもあるのではないでしょうか。
それはなぜなのか。
相手の立場が自分よりも上だから、威圧的な雰囲気だから…理由はさまざま浮かびますが、実は相手が「どんな人か」はあまり関係ありません。大切なのは、「どんな話の聞き方をしているか」。何でも話してもらえる人には、心理学・心理療法的に共通する聞き方の秘訣があるのです。
その秘訣とは、受容・共感・自己一致の3つです。
<話の聞き方3つの秘訣>
これはアメリカの心理学者であるカール・ロジャースによる傾聴の3原則に基づいています。一見難しそうに感じるかもしれませんが、実践の仕方は実にシンプル。「話そうとしない」まずはこれだけを抑えれば大丈夫です。
話をうまく聞けない人は、たいてい頑張って話しすぎています。話の聞き方の本質は「どう話すか」ではなく、「どう話してもらうか」にあります。
根本的に人は聞くよりも話すことが好きだといわれています。例えば、職場でのこんなやりとりを耳にしたことはありませんか?
上司 「おいおい、どうしてこんなミスが起きたの?」
部下 「えーと、私も事前に先方にメールを送ったのですが、実はそのあとに……」
上司 「違う違う! 何でいきなり先方にメールしちゃったの。その前に確認する方法があったでしょ」
部下 「え、申し訳ありません」
上司 「そもそもメールで済まそうとするのが間違いなんだよ。だからさあ、うんぬん……」
部下 「はい(聞かれたから答えたのに……)」
上司は質問していたはずなのに、いつの間にか自分が話したいことでいっぱいです。話し手は「こちらの事情も聞いてほしいのに!」と不満を抱えることになります。
この例に限らずとも、相手の話を聞いていると話したいことがどんどん湧き出てしてしまう、といった経験は誰しも身に覚えがあるのではないのでしょうか。会話のキャッチボールをしているつもりが、自分が投げるボールにばかり目がいってしまう。これでは良い聞き手とはいえません。
繰り返しになりますが、本来人は話したくて仕方がない生きものです。だからこそ、あえて「何を話さないか」を意識することが、相手の話を聞くために重要になってくるのです。
具体的には、
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明治学院大学 経済学部准教授