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» 2023年02月02日 07時05分 公開

できる上司が気持ちよく部下に動いてもらうためにやっていること3選ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

「できる」「頼もしい」といわれるリーダーの共通点。その1つは、周りの人が気持ちよく動いていることではないでしょうか。メンバーが快く動ける関係はストレスがなく、組織全体の業績アップにもつながります。そんな、自分も相手も気持ちよくやりとりするための秘訣を、世界のエビデンスにもとづいて紹介する書籍『面倒なお願いでも、相手に気持ちよく届く伝え方は?』から抜粋・再編集して紹介します。

[川上徹也ITmedia]

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。


キーワードは「納得感」

『面倒なお願いでも、気持ちよく相手に届く伝え方は? 人を動かす伝え方50の法則』(Amazon)

 部下に仕事を依頼したのになかなか動いてくれない。そんなときは、「いいからやりなさい」と強く言いたくなってしまうかもしれません。でも、強く言うのは自分にとってストレスですし、何より効果があまりないことが研究で明らかになっています。

 2013年、ウエスタンイリノイ大学のクリストファー・カーペンターは、2000人を対象に心理学に関する42の実験を行いました。その結果、質問の最後に「たった一言」を加えるだけで、相手が「イエス」と答える確率が上がることを証明しました。

一体、どんな言葉だったと思いますか?

 それは、「でも、あなたの自由です(But you are free)」という言葉でした。この一言を付け加えるだけで、相手が「イエス」と答える確率が2倍にも上がったのです。

 この効果は、「But you are free」の頭文字をとって「BYAF法」と呼ばれています。もともと2000年にフランス・ブルターニュ南大学のニコラス・ゲーガンらの実験で初めて実証されたもので、それ以来、世界の研究機関で証明されたお墨付きの効果です。

 あるショッピングモールで寄付を求めるという実験では、声掛けの違いで寄付に協力してくれる人が増えることが証明されました。寄付のお願いだけをして応じてくれた人は10%でしたが、寄付のお願いをしたあとに「寄付するのもしないのもあなたの自由です」という一言を加えただけで、なんと47.5%もの人が寄付に応じたのです。実に、約5倍もの差です。

 なぜ人は「選択の自由」を与えられるとこんなにも協力的になるのでしょうか。それは、私たちが持つ「自律性(自分の行動を自分でコントロールしたいという性質)」によるものだと考えられています。つまり、「自分で納得した上で行動したい」という欲求のことです。

 この法則をビジネスシーンに当てはめると、例えばこんな言葉を付け加えることでも同様の効果が期待できます。

(部下へ業務内容の説明をしたあとに)

 「でも、最終的な判断はあなたに任せます」

 「でも、やり方はあなたが決めてください」

 「でも、あなたがいいと思うタイミングで先方に返してください」

 このように、一方的にお願いするのではなく、相手の意思を尊重する姿勢を見せることが、自発的なアクションに結び付きます。さらに、自分自身で納得して動くことになるので、自然と部下の「やる気」もアップするでしょう。

「きちんと見てくれている」と実感できれば部下は動く

 部下に何か依頼するとき、用件のみをメールなどで伝える人も多いでしょう。そのほうが無駄なく正確に伝わるように思えるかもしれませんが、その心配りが、逆に部下の取り組むハードルになっているかもしれません。

 2009年、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校コミュニケーション研究科のサン・ボルカンと、サンディエゴ州立大学コミュニケーション学部のピーター・アンデルセンが、どんな声かけが人の行動を左右するのかを実験しました。

ショッピングモールやスーパーマーケットで、次の2通りの声かけでアンケートへの協力を依頼します。

A:「少しお時間よろしいでしょうか?」と呼びかけてからアンケートを依頼

B:「あなたは他人に協力的ですか?」と問いかけてからアンケートを依頼

 この違いで、アンケートの回答率はどのように変わったでしょうか? 答えは……。

A:29%

B:77%

 なんと、倍以上の差が生じたのです。

 Bの「あなたは他人に協力的ですか?」と話しかけられた人たちのほとんどは、少し考えて「はい」と答えました。それにより、「自分は協力的だ」というセルフイメージを固めたことで、その通りの行動(=他人に協力的=寄付をする)を選択せざるを得なくなったのだと考えられます。

 これは、メールなどの文章にも応用することができます。例えば部下にメールする場合、いきなり用件に入るのではなく、「〇〇さんはいつも仕事が早くて助かっています」と、相手の仕事ぶりを評価する一文を最初に入れてみてください。

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